Chapter 8-10
所変わって時間も進んで、再びドラゴンの角。
アルム「真空斬り!」
アリュード「隼斬り!」
???「当たんないよ、そんな攻撃!」
2人が繰り出す剣撃を、少年は全て回避する。さらにその上で、遠距離からエドが放つ矢も避けたり落としたりしていた。少年自身にダメージは全くない。
エド「これならどうだ!ギラッ!」
懸命に練習して習得した呪文を試みるエド。火炎はうまく放たれたが、少年はいとも簡単にそれをかわした。
???「なーんだ、この程度なの。がっかりしたよ」
着地した途端に、少年は口を開いた。
アリュード「なんだと…!」
???「君たち、どこかの教習所に通ってるでしょ?」
アルム「どっ…どうしてそれを…!」
アルムは面食らった。なぜ自分たちが生徒であることが分かったのか不思議だった。
???「戦い方を見てたら丸分かりだよ。そんな戦い方じゃ、強くならないのも当たり前だね」
エド「うるさいな!スラリンを返せよ!」
???「まだ言ってるよ…」
呆れ気味にため息をついて、少年は嘲笑った。
???「これ以上君たちにかまってる時間はないんだ。このスライムを返して欲しかったら、追いかけてくることだね。ま、無理だと思うけど?」
3人が何も言わないうちに、少年は籠を持ったまま走り出した。慌てて3人が追いかけたが、橋を渡り切ったところで少年は忽然と姿を消していた。
◇◇◇
セリス「…おっ、このパンうまいぜ。ほら、食ってみろよ」
レイシア「どうせあんたが買ったパンなんて………ん…ほいひいひゃはい…」
一夜が明けて、朝。珍しくセリスが町でパンを買ってきたので、それを食べていた。これが意外に美味しく、食べ始めると止まらない。
セリス「だろ?残りは全部やるよ。あとはルーナとでも分けてくれ」
レイシア「ふぁんははふぉうひららいほ?」
セリス「(何言ってんだよ…)ああ、俺はある程度食ったからな。じゃ、また後で」
セリスはそのまま部屋を出て行った。口の中のパンを飲み込んで、「………なんだかんだ言っても、やっぱり心配してるのね…」と呟き、レイシアはまだ夢の中にいるルーナの体を揺すった。
レイシア「ルーナ、そろそろ起きないと訓練遅れちゃうわよ…?」