Chapter 8-8
窓から見える地上はもう遥か下。最上階へと続く階段を、3人は1歩ずつ慎重に上っていく。モンスターの数は、上に行くほど減っていた。一方で、あやしげな匂いはますます強くなる。そしていよいよ、アルムたちは最上階にたどり着いた。

???「…おや?香が切れたみたいだね…。ちょうど君たちが来た瞬間に」

静かな部屋で、静かな声を聞く。中央で焚かれていた香は本当に切れたらしく、この後匂いは知らないうちに薄れていった。そして暗闇がぼんやりと、円を描くように明るくなる。その中心に、先ほどの声の主であろう―――アルムたちとよく似た格好をした、歳もそれほど離れていない少年が立っていた。彼は右手に、小さな籠を提げている。その中に、青い物があることはこの薄暗い中でも分かった。

エド「スラリン!!」
???「…へぇ。このスライムの飼い主って、君なの?」

少年は、半ば驚くように、半ば嘲るようにエドに聞いた。

エド「ふざけるな、飼い主なんかじゃない!おれの、おれの大切な友達だ!早くスラリンを返せ!」

馬鹿にされたことで、エドの言葉に少し熱が入った。

???「…返せ?それは出来ないよ…。なぜだか知らないけど、あの方はこのスライムを欲しがっていたからね…」
アリュード「あの方…?」

目の前の少年が誰かも分からなければ、「あの方」が一体何者なのかも分からない。3人には全く話が見えていなかった。

???「どうせ、このまま見送ってはくれないでしょ?だったら、かかって来なよ。3人まとめてね…」

不敵そうに微笑して籠を振り回す少年。中でスラリンが振り回されていることなどお構いなしだった。

アルム「もちろんだ!みんな、行くよ!」
アリュード・エド「ああっ!!」

夜明けが迫る塔の頂上で、アルムたち3人は謎の少年とぶつかった。
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