Chapter 8-6
アルム「でも、エドがそんなに弓が上手かったなんて知らなかったよ」
アリュード「あれだけ離れた場所から…しかも今は夜だしね…」
エド「ルザミに居たとき、よく蛇とか出て来たときに狙って撃ってたから、一応自信あるんだ」
少し得意気に、エドは理由を説明した。
アルム「でも…エド、どこに行こうとしてたの?途中でぼくたちが追い抜いちゃったみたいなんだけど…?」
アルムがそう聞くと、エドは自分の行くつもりだった場所を言った。
エド「おれ、ドラゴンの角に行く途中だったんだけど、道に迷ってさ…それで、多分抜かれてたんだと思うけど…」
アリュード「(辺り一面草原の場所で、道に迷うのかな…?)」
アルム「ちょっと待って、ドラゴンの角に行こうとしてたの?」
アルムの問いに、エドは頷く。ドラゴンの角とは、ルプガナの南西にある2本の高い塔のことである。川を挟んで大陸を結んでおり、最上階の吊り橋は世界でも有数の怖い場所として知られている。もっとも、その昔は吊り橋すらなかったようで、大陸を渡るには泳ぐか、特殊なマントを着けて塔のてっぺんから対岸に飛ぶかしなければならなかったのだが。
エド「町のおじいさんに聞いたんだ。最近モンスターがドラゴンの角に集まってる、って。だからもしかしたら、スラリンもそこに行ったのかも、って思って心配で…」
ここでアルムは考えた。時刻はもう遅い。さらに、向かう場所にはモンスターが集結していると聞いた。この3人でどこまで通用するか分からない。さらに、そこにスラリンがいる保証は全くない。自分たちの安全を考えたら、今日は一度退いた方がいい…アルムは一瞬そう思った。しかし、スラリンはエドの大事な友達だ。万が一友達の身に何か起こったら、自分は黙って引き下がれるか?そう考えると、エドが今耐えに耐えていることが分かるような気がした。
アルム「…い、行こうよ!スラリンを助けに!」
アリュード「そう…だね、僕はいつでもいいよ!」
エド「…うん、絶対にスラリンを見つけるぞ!」
こうして3人は、ルプガナには引き返さず、そのままドラゴンの角に向かった。