Chapter 8-1
ローレシアとの合同訓練を終えて、生徒13人と教師5人はルプガナに帰って来た。たった2日3日の話ではあったが、やはりいつも暮らしている町が一番である。かなり長い間ここで生活してきた生徒たちも、ルプガナの町の香りを感じていた。
教習所となる屋敷に戻ると、庭の隅でうずくまっている人影があった。近づくにつれて、人影は2人で、うずくまっているのではなくしゃがみ込んでいるのが分かった。
アルム「あれ…あの人たちって…」
アルムには見覚えがあった。あの2人―――少年と少女は、確か。
◇◇◇
少女「お名前は?」
少年「オッケー。じゃ、連れてってあげてくれ」
◇◇◇
アルム「あっ、そうだ、案内してくれた人だ」
すぐそばにいたセリス、レイシア、ルーナがアルムの言葉を聞いて思い出す。するとその少年と少女がこちらに振り向き、「あっ、おかえりー」と言って屋敷に入っていった。彼らが去った後には、小さなお墓と手向けられた花があった。
アンナ「お墓…?」
不思議そうにアンナが呟くと、それを聞いたアーロンが説明した。
アーロン「お前たちにはまだ説明していなかったな。あの2人は12歳の双子で、少年の方がセル、少女の方がルイだ。何年か前に両親を亡くしてな、とあるきっかけで私たちと出会った。まあ、それから諸々の事情でここに住んでいる」
へえ、ぼくと同い年だったんだ。あの2人、ここに住んでいたんだ、とアルムは思った。
セリス「あれ?あの2人は12なんだろ?なんで生徒じゃないんだ?」
レイシア「忘れたの?自分で言うのもなんだけど、ここに来た人はみんな、歳以上の力を持ってる人たちなのよ。…まあ、なんであんたがいるのか分かんないけど」
セリス「お前なあ…」
さすがのレイシアも、この件に関しては読み違えていた。が、ここは首を突っ込まずそれと思わせればいいと思ったのか、教師たちは皆曖昧に笑っていた。