Chapter 6-3
そんなこんなで、あまりにも手際良く進んだ訓練は、かなりの時間を残して終了した。タアは「なぁ、次に進もうぜ?」とやる気満々だったが、訓練のカリキュラム上それは出来ない、とゼクトルは説明した。
アルムはこの時間を利用して、ずっと気になっていたことをゼクトルに聞いてみた。
アルム「…先生たちは、どこかの教習所にいたんですか?」
ゼクトル「ん?どうしたんだよ、急に」
思わぬ質問に、ゼクトルは一瞬驚く。アルムは持っている剣をゆっくり振りながら、やや照れくさそうに答えた。
アルム「その…ちょっと気になってたんで」
ゼクトル「…俺たち5人は、誰も教習所なんかにはいなかったぜ」
意外な返事に、そばで聞いていたアリュードとタアも驚いた。
アリュード「ええっ!それ本当ですか!?」
ゼクトル「ああ、本当だぜ…?(…けどさすがに元々敵だったとは言えねえよなぁ…)」
内心苦笑いしながら、ゼクトルは答えた。すると今度はタアが問った。
タア「じゃあ、何でそんなに色々出来んだよ?何でそんなに強ぇんだ?」
ゼクトル「そりゃ、先生が生徒より弱かったらマズいだろ。そう思って、みんな2年前から準備してきt」
ゼクトルがしまった、と言うように言葉を切る。だが、切るべき部分を切れていなかった。
ユリス「2年前…?」
が、ちょうどそこで、訓練終了の時間になった。「あっ、じゃあ今日はここまでな!」と、ゼクトルは半ば慌てたように屋敷に戻っていった。
ユリス「2年前っていったら…」
アルム「確かキースさんが世界を救った時だよね…?」
リズ「…そうね」
ユリス「だとしたら…ここは、世界が平和になってから作られることが決まったってこと?」
ユリスの言葉に、アルムたちは考えこむ。が、リズはそんなアルムたちに淡々と言った。
リズ「…いずれ分かるんじゃない?今考えなくても」
そのまま屋敷に戻っていくリズ。「相変わらずなんだから…アルム、またね」と言い、ユリスはリズを追いかけた。
そんな中で、ゼクトルは口を滑らせたことを後悔していた。
ゼクトル「やべ…言っちまったぜ…」
全てが見抜かれないことを祈るように、ゼクトルは早足で歩いた。