Chapter 6-1
メリー「大丈夫、レイシアは無事よ。全身の火傷も、痕は残らずに治るはずだから」
メリーの言葉を聞いて、安堵を感じて脱力する3人。今まで忘れていた長距離の全力疾走による疲れが、どっと出てきたのである。
シェルト「ご苦労でしたね。今日1日の訓練は、あなたたちに合わせて全て復習にしておきましたから、ご心配なく。さて、森まで往復してお腹も空いているでしょう。夕食の用意が出来ましたから、みんなと一緒に食べましょう」
座り込んだ3人にシェルトはそう告げた。のろのろとアルムとセリスが立ち上がるが、ルーナは立ち上がろうとしなかった。
セリス「おい、ルー…。ったく、こいつは…」
顔を窺うと、ルーナは心配事などありません、という表情で眠っていた。よほどレイシアのことが気がかりだったのだろう。
メリー「ふふ、我慢してたのね。ルーナもここに寝かせておくから、2人はご飯食べてきて良いわよ」
アルムとセリスはその言葉に甘えることにして、シェルトに従った。扉に手をかけたその時、シェルトの力によらず扉が開かれた。
アルム「…タア、ロエン、アンナ、アリュード!」
扉を開いたのはタアだった。そしてその後ろにはアルムが口にした3人がいる。
タア「全部聞かしてもらったぜ。俺らに黙って、こんなことしてたとはな…」
アンナ「最近どうもおかしいと思って、戻ってきたあんたたちを尾けてたんだ。そしたら…」
自分たちだけが森への冒険をしたから、彼らは怒っているのだろうか?アルムはそう思い、慌てて口を開いた。
アルム「いや、これは違うんだ、レイシアが森に…」
ロエン「僕たちが言いたいのはそんなことじゃない!」
アルムの言葉を遮り、ロエンは続けた。
ロエン「僕たちが…レイシアを心配しなかったと思ってるのか!?」
アルム「!!!…ごっ、ごめん…!」
強い口調に、アルムは俯き加減に答えた。そんなアルムに、アリュードが明るく言った。
アリュード「僕たちだって、同じ仲間だろ?セリス、前にそう言ってくれたじゃないか」
セリス「あっ…ああ…」
タア「お前ら、今度俺らに黙ってこんなことやってたら、ぶっ飛ばすぞ」
フ、と口元を緩ませてタアが言ったのでアルムは素直に「うん!」と言えた。