もうかないで

サークル:WAVE
参加アーティスト:Morrigan、K.Juno
公式サイト:http://www.circle-wave.net/product/nakanaide/nakanaide.html



ひぐらしのく頃に同人イメージアルバム。
出題編のイメージをインスト曲メインで構成、捨て曲ゼロの神盤。
田舎の風景とこちらに背中を向けたレナのイラストで構成されたパッケージはいかにも静まり返り、閉じ切った世界を思わせる。

CDを手に取る手順は現代では億劫なものだが、このCDは必ずこのパッケージを見ながら聴き始めなくてはならないような気がしているし、たぶんこの解釈は間違っていない。

なぜならこのCDは文字による情報がきわめて少ない。
ボーカル曲の収録にも関わらず、歌詞カードは用意されていない。
パッケージ裏にはトラックリストの掲載もない。
ブックレットには、ここにきてようやく見られたトラックリストの文字列とともにイメージ画像が刷られているのみだ。
見るためでしかないものがついているなら、このパッケージも丸ごとCD本体のイメージに必須のものということになるではないか。

楽曲については、実のところ評価は不要としたい。
トラックにはシナリオの情景を切り取った風な音が並んでいる。SEによる表現は効果的に使われており、オープニングの最初からショックを受けるような強いSEから入る。
たかが音楽なのにここから聴き始めていくことが早速怖くなるような迫力を持っている。

単なるインスト曲だけでなく、SEの重なりを用いたトラックも組み込まれている。
目立つのは綿流しのお祭りのトラック。メロディのある旋律は含まれず、静かなお祭りの音だけが流れる。

どのトラックもこれ以上のいじり方のわからない最終形態で収録されていると思えるのだが、トラックのすばらしさよりも選ばれた表現に何よりの良さがある。
作品集としての表現というより、シナリオの中の空気を表す表現が試みられている点がこの一枚に心酔させてもらえる理由だと、私は思っている。

なお、この作品はWAVEの意向により、公式サイトにて全曲フルmp3が公開されている。



蛇足だが、CDという媒体を「最初から最後まで通して聞かなくてはならない作品」だと私に認識させてくれたのはこのCD。
もうなかないで以前ともうなかないで以後で、自分の音楽CDに対する姿勢が大きく変わった。


ページ作成日 2020/01/13

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