エレクトロン・コンディション 2 | ナノ



タチが悪い。
めちゃくちゃな執念。最早止まることのない行動。破り捨てた手紙は、とうとう一度も読むことはなかった。迷いはない、はずだった。狩魔の名において過去にすがり付くのはタブーであり罪である。無理矢理、心に蓋をした。
そんなもので忘れられるハズが無いのに…今更後悔している自分。歯がぎりりと鳴る。
「御剣検事、顔色良くないッスよ…?」
「………」
何ごとも手がつかない。バカなこの私が何たることかこんなハズはない私は狩魔の人間だ私はわたしは私は。ぐちゃぐちゃだ。散らばった書類以上に思考が定まらない。糸鋸刑事の心配そうな顔が余計に腹立たしくて、たまらず唸る。
「御剣検事?」
「すまないが、一人にしてくれないか…?」
刑事がおどおどしながら出ていき、ようやく孤独に身を沈める。書類をまとめて机を整理しても、そこにまたあの手紙があるような気がした。
私は恐れていた。差出人に彼の名さえなければ悩むこともなかった。

「成歩堂、龍一…」
私の初恋の相手。
性別は男。
私は子供ながら本気だったのだ。