エレクトロン・コンディション | ナノ



毎日来る手紙を、今日も破って捨てる。
記されている差出人は小学校4年以来の幼馴染みだった。…何を考えているのか。「何故、今更連絡を取ろうとする?」思わず呟きと共に悪い空気を吐き出す。
吐き出せど吐き出せど、何も変わらなかった。何故だろう。此処の空気は、気持ちが、悪い。

「御剣検事!解剖記録が出たッス!」
「そこに置いておいてくれ糸鋸刑事」

幼い頃に抱いた記憶は、年を重ねていく度強くなった。憧れ、私に無いものを持っている彼に向けた嫉妬、執念は徐々に。
信じたくないくらい苦悩しやっと心の奧収めた、彼への感情がまたどくどくと脈打ち熱くなる。

(忘れたと思っていた、というのに…)

自分の記憶から消したくて、会いたいと主張する紙を半分に、破る。
半分に、半分に。
破る。

(許してくれ)