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□憂鬱なスピカ おまけ

「侑!あーつーむ!朝!起きて、遅刻するから!」


イタリア人は時間を守らない?
いやいや、私は日本人ですので。

トーストじゃなくて白米、ベーコンエッグに醤油。
野菜を取るためにスムージー。

日本にいた時よりもずっと健康的になった朝食に、我ながら感心。


「んん、今起きる……。」

「ねー、本当遅刻するから、先出るよ!」



「って!いやいや、どうなってんねん。なんでスーツ着とるの?!」

「今日から仕事だってば。」

「聞いとらんし!」

一旦は辞めた仕事を、異国の地で再開したのは新居を決めてすぐのこと。
だって、家にいる生活はやっぱり性に合わない。


「いや、なんで。栄養管理は任せてとか言うとったやん!」

「まあまあ、それはそれで。」

「そんないい加減な話……!」

「あるある。」

すっかり目が覚めたらしい侑の前でジャケット襟を直して、笑う。


「あのねえ、真面目で堅実な女性は侑とは結婚しないでしょ。」

「……まあ、そうやな。ってなんでやねん!」

「アハハ!」


これが日常、それも日常。
新しい毎日が、また幕を開ける。


「じゃあね、行ってきます!amore!」

なんてね、トマトづくしのレシピ本を買ったことと料理教室に通うことにしたことは帰ってから打ち明けよう。



時間ならたくさんある。

これからは、二人きりの時間ならいくらでも。


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