何で私、こんなことをしているんだろう。



「………」


「………」



 反応がない、眠っているようだ。

 そうじゃない。そういうことで安心してどうするんだ私。



「(大体、何でキスなんてしたんだろう…。)」



 そう思いながら彼の唇を見つめる。

 こんなにぷるんとした、うるおいのある唇を見たら、またキスがしたくなってしまった…。そこに唇があったから仕方がない。あぁもう、白竜が好きすぎて辛くてたまらない。私だって…。



「(…ね、寝てるのが、悪いってことで……)」



 私はゆっくりと顔を近づけて、唇を重ねた。



「………」


「………」



 気になって白竜の方をみると、みるみる顔が赤くなっていった。



 …え?



 もしかして、もしかすると、その、あの、えっと……起きていらっしゃるのかしら、白竜さん…??



「………」


「……っ…」



 私も顔が赤くなった。まるで顔から火が出そうだ。いや、今なら出せるかもしれない。まさにバーニングフェイズ。は、恥ずかしいことをしてしまったと、ようやく気がついた。それから申し訳ない気持ちになり、私は視線を彼からそらし、その後顔を映画のスクリーンに向けようとしたが…。



「!!!」



 いきなり肩を掴まれ、動けない。肩を掴んでいるのは当然、目を開けた白竜だ。



 そして丁度今、映画のエンディングが始まった。



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