「勿論カップルシートだ!」


「あーなるほど〜カップルシートねーなるほど〜…って!え、あ…えぇ!?」



 私は白竜に手を引かれ、席に腰かけた。











 どうしよう、これすごくドキドキするんだけど!


 映画見にきたのに、映画に集中できそうもないんですけど…白竜さん?あら、いい笑顔…って、顔が近い!!!


 誰だよこれ考えたの、作った奴出てこい!



「(……いい仕事してくれるじゃないですか〜!!!)」



 思わず顔が赤くなった。



「大丈夫か?顔が赤いぞ」


「は、白竜は…恥ずかしくないの?」


「誰が見ている訳でもないし、見えにくい作りにもなっているからな…そんなに気になるのか?」


「そそそ、そういうことじゃなくて…その、私たち普段はこんなに近い距離で一緒にいることなんてないでしょ?」


「まあ、精々バスやフェリーの時や電車の時くらいだな」


「でしょ?!だから私、ドキドキで…」



 言い終わる前に白竜は私を引き寄せた。



「恋人同士なのだから、問題ないだろう」



 さっきよりも、もっと近くに顔がある。そんな真剣な表情で言われたら、「はい」としか言えない。



「…そ、そうですよねー……」



 どうしよう。


 映画に集中できそうにない…。


 でも、今日はデートだし、私たちは恋人同士だから…恋人繋ぎをして見ても、罰は当たらない…よね?



 私が白竜の手に触れると、彼は私の手を力強く握り返してくれた。



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