久しぶりに彼の方から出かけると誘ってくれた。
普段は練習でそんな暇はなさそうなのに、今日は何故か休み…らしい。それで急に『出かけるぞ!』と言って、私を誘ったのにも関わらず、ノープラン。まぁ、彼らしいけど。
「行きたいところはあるか?」
急にそんなことを言われても困ってしまう。
そりゃあ、折角二人きりで出かけるから嬉しいけど…これって…で、デートってことだよね?えっと、デートなら…あぁ、もう!!何で私がこんなに悩まなくちゃいけないの?!大体誘ったのは白竜の方なんだし、白竜が決めればいいじゃない。そう思っても、口に出す勇気はなく、何と返事をするべきか考え込んだ。
「………」
「……ナマエ?」
流石の彼も、私が腕を組んで眉を寄せていれば、悩んでいることくらいはわかってくれた。珍しく白竜はオロオロしている。いや、珍しいというレベルではない。正直、こんな姿は初めて見た。
そういえば、彼がこんなに自然体なのも、かなり久しぶりだ。二人きりの時はいつもこんな感じだけど、最近はずっと練習ばっかりで…。何だ、私たち何ひとつ恋人らしいことしてないじゃない。
「………(そっか、私寂しかったのか…)」
「ナマエ、」
「ねぇ白竜、今日は本当に自由にしていいの?」
私が不安げに問いかけると、白竜は優しく笑って答えた。
「あぁ、もちろんだ」
「よし、じゃあ出発!今日はデートだよ!!」
私は嬉しくなって小走りをして駅に向かった。
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