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返ってきたメールを読んで、思わずため息を吐いてしまった。






ホント……信じらんない…

憧れの人とメールをしているなんて…。



迎えに来てくれるなんて…





幸せのため息が出るなんて、当たり前だよ。




私はケータイをキュッと握り締めた。




とうこさん――…











なんだか、ソワソワして、居ても立っても入られなくて、私は帰り支度を済まし、大劇場を出た。










外は凄く寒くて、私は身震いした。

マフラーと手袋は昨日の朝から家に忘れたまま。


冷たい風に俯き、コートの襟を立てた。

寒いけど、苦ではない。




こうして、とうこさんを待っている時間が心地いい。




とうこさん…早く会いたい










下を向いて冷たくなった手に息を吹き掛け暖めようとするけれど、そんなの意味はなくて…。






キッ…




見覚えのある車が私の目の前に停まる。







「なまえっ!?なんで外におるん?着いたら連絡するって…」




車の中から驚いた顔のとうこさんが降りてきた。







大好きなあなた――…




私の目の前にいる…



私の名前を呼んでくれる。






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