原沖家族部屋 | ナノ





みんなと!

ちょっと生意気になりましたw



「あれ、もしかして皆も総司に呼ばれた?」

広間の前。夕食後に話があるからと総司に呼ばれた藤堂が、なんの用かと疑問を抱きながら向かった先。そこには既に斎藤、永倉、原田という先客が訪れていた。

「ああ。少し話がある――との事だったが」
「お前らもか!俺もだぜ……てか、左之はなんか聞いてねえのかよ」
「いや。それが俺にもさっぱりでな」

――特に変わった様子もなかった筈なんだが。

原田の言に集まった面々が首を傾げる中、さらなる来客が訪れた。

「なんだ、お前ら全員か?」
「土方さんもかよ。一体なんだってんだ総司のやつ……」

仕事の話で土方が全員に召集をかけることは多々あれど、総司が全員に声をかけ集めることなど初めてのことではなかろうか。
おそらく――いや、十中八九“あれ”のことだろうと予想はつくのだが、一体何の話があるというのか。それがわからず、五人は暫しその場に立ち尽くすこととなった。


静寂をやぶったのは勢いよく開かれた襖の音。

現れた総司の片腕に抱かれた小さな存在。それを確認した各々は、やはりな――と心の中で頷いた。
総司は全員をぐるりと見回した後、一瞬訝しげな表情を浮かべ(広間に大の男が五人、ぼうっと立ち尽くしている光景は確かに異様ではあった)――だがそんなことよりもと、わざとらしく咳払いを1つしてみせた。

「皆そろってるよね?まぁ座ってくれるかな」
「しゅわってくえゆかな!」

総司の言葉を真似る舌ったらずな声。

「うに゛ゃっ」

それを聞いた全員の口元がうっかり緩んでしまうよりも早く、繰り出されたのは総司の手刀。

「しゅわってくえゆかなーじゃないよ、全く……」
「いちゃい〜〜」

もちろん本気で行ったわけではない――叩かれた小さなそーじも、痛がるふりをして両手でおでこを押さえているだけ。痛い、と言いながら足をばたつかせる様は、どこかじゃれ合いを楽しんでいるかにも見えた。

「総司ってば!かわいそうだろ、そんな事したら!」
「だな!馬鹿んなっちまったらお前だって困んだろ!」

――そんなやり取りも、通じなかったのが約二名ほど居たわけだが。

「いいから!さっさと座るっ!!」

その抗議をぴしゃりと断ち切るように、刺すような視線を放つ総司の空気にのまれた五人は、半ば反射的にその場へ正座で座り込んだ。



***** *****



「率直に言わせてもらうけどね。皆この子のこと、甘やかし過ぎなんじゃないかな」


一体何の説教が始まるのやら。
縮こまっていた五人の男達は、それを聞くや否や、とりあえずほっと肩を荷をおろした。なんだそんなことか…と思うも、総司のこの剣幕については甚だ疑問がのこり――心当たりのある奴はいるかと互いに視線を交差させる。誰しもがさっぱりと云った風に肩をすくめる中、口を開いたのは原田だった。

「別に、甘やかしてるつもりはねぇんだが……」

「そ、そーだよ。普通に遊んでるだけだぜ!」

藤堂が便乗し、残った者も云々と頷きで同意を示す。
返ってきたのは総司の大きな深い溜息。


「昨日、非番だった僕はこの子と出かけました。さて、お団子屋さんの前を通りかかった時のことです。」


「「「「「え………」」」」」」

なんで そんな 語り口調?


全員の困惑をよそに、総司は淡々とした口調で言葉を重ねる。膝の上でしっかりと抱きかかえられたそーじは――身動き出来ずにおそらく暇をもてあましているのだろう、振り子のように左右に揺れては時折手足をばたつかせている。

「この子がお団子を欲しそうに見つめたままそこから動こうとしません。帰ったらおやつが買ってあるからって言っても聞かず、仕舞いには座りこんで不貞腐れる始末」
「あっこのおだんごおいちいかやね!」
「………………」
「おいちいんだよ?」
「まったく。生意気言わないの」
「むぅ〜」

総司と膝の上のそーじと……。
二人の微笑ましい(?)やり取りに、誰かが小さく吹き出したのをきっかけに、場の空気が和らいだのは一瞬のこと。
犯人は誰かと全員を厳しい顔つきでぐるりと見渡した総司の視線に、五人はぴしりと背筋を伸ばし直す。口元で拳を作った土方は誤魔化すように咳払いをし、斎藤は瞑想のごとく目蓋をおろした。

そんな様子を横目に、総司の語りは続いていく。

「絶対買わないよって置いていったら漸く、半べそかいて走ってきた訳なんだけど。本当に僕の姿が見えなくなるまで粘ってるんだから、強情というか強欲というか……甘やかされ過ぎてるせいで我慢、てのがわかってないって言うか」

そして再びの深い溜息。
どうやら話は一区切りついたらしいと察した面々は、再び顔を見合わせた。

「べつに――買ってやりゃいいじゃん。なぁ?」と藤堂の言葉。
それに「団子の1つや2つくらいいいじゃねぇか。たくさん食べてでっかくなんなきゃいけねぇだろ」と多少ズレた永倉の言葉が続く。
二人の意見に同意……はしているものの、総司の不興をかうことが目に見えている斎藤・土方は黙することを決め込み、その横で原田は何とも言えぬ表情で苦笑した。

「もう〜っ!それが毎日続いてるからこの子が我侭になってくんでしょ!僕がちょっと買わないだけで「おに」だの「いじわる」だの言うんだからね!!」

「みんなはかってくえゆもん」

小さなそーじのその言い分。
それに心当たりのある“みんな”は、どうか総司の怒りの矛先が向きませんように…と祈るばかりだった。当然、無理な話、なのだが。

「ほらね。すっかりふてぶてしくなっちゃって!――平助、この前の非番この子になにか買ってあげた?」
「え……いや。あの、」
「素直に答える」
「……だ、大福一個だけな。あ、でも二人で半分こしたから半分だけだぜ!半分だけ!」
「量の問題じゃありません」


「一君は?」
「飴細工を、あまりにも熱心に見つめていたので……」
「……買ってあげたわけね」
「う、うむ」


「で、新八さんは?」
「俺か?!俺ぁ別に買ってねえよ。ちょいと茶屋に連れてっただけで――」
「おんなじことです!どうせ『好きなだけ食え』とか言ったんでしょ」
「み、見てたのかっ!!」
「見てなくてもそのくらいわかります」
「仕方なかったんだって!『甘くてつるんとしたの』が食いてぇとか言われても何のことかさっぱりでよ!だからあれだ、こう、それっぽいのを片っ端から―――」
「……………」


「俺は昨日まで仕事で忙しかったからな。そいつの面倒は見てやれてな…」
「土方さん。この前買ってきた土産のお菓子……自分で違和感ありませんでした?」
「な、何がだ」
「皆に、って菓子折1箱くれましたけど、この子にも同じ箱1つ丸々あげてたでしょ」
「…………」
「はぁ〜。一体どんな計算したんですかね」


「……………」
「左之さんも。無言で目そらさない!出かける度に色々買い与えるのはやめて下さい」
「わかっちゃいるんだが。つい、な?」
「つい……であんなに買うから、物が溢れかえってるんでしょうが!」

とにかく――

言って総司は、もう何度目かの深い溜息を吐いた。


「あちこち連れてくのは構わないけど、すぐに何でもかんでも買い与えないように!って事!」
「…ってこちょ!!」
「そーじ、意味わかってないでしょ」
「いぃみ?」
「そうだよ。皆に注意したから、今度から君のお目目きらきら攻撃も泣き落とし攻撃も通用しないからね」


おねだりしたら何でも買ってもらえるなんて甘い考えは捨てるように。


「「「「「……………。」」」」」


聞いた五人は、総司に忠告された内容を実行出来るか――各々が思案し、結果、その難しさに黙りこむしかなかった。





総司から第二回の召集がかけられたのは、
それから僅か六日後のことである。

左之さんは&お部屋でのW説教
平「左之さん何であんなに総司に尻にしかれてんの?」
左「ば…っ、敷かれてねぇよ。ただ、そーじの事になると怖ぇんだよなアイツ…」
平「(やっぱ尻に敷かれてんじゃん……)」

沖田さんは新婚のうちは甘えただけど親になると強そうですというイメージw←









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