とりっくおあとりーと!
[原沖家族 / 現代編]
左之さんは社会人、総司は主夫w
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「うわ…時間やっべぇ!俺そろそろ出るから、後よろしくな!」
二人揃ってうっかり寝坊した朝。
いつもより慌ただしく朝食をとったあと、身支度を整えたらしい左之さんが玄関へ向かうのを呼び止める。
「あっ、左之さん!玄関でいいからあと一分待ってて!」
簡単なものになっちゃったけど、昨夜の作り置きのおかずも用意してあったし、ご飯もちゃんと炊けてたし――で、何とか作り上げたお弁当に蓋をする。さて、あとは袋で包むだけ。
「そーじ、アレ!」
「あいっ!!」
おかずを詰めてる最中、ずっと足元をウロウロしていたチビに命令した『お弁当ハンカチ持ってきて』と言う指令は無事に果たされていたようだ。小さな手が下から差し出してきたソレを手にとって、手際よく包み上げる(なんだか僕も、すっかりプロ顔負けじゃない?)
「あ〜もぅ、今日は朝一で“Trick or Treat?”って言ってやろうと思ってたのになぁ」
「……とり…とりぃ?」
「Trick or Treat――後で一緒に練習しよっか。左之さんに言ってやらなきゃね」
「とりぃ…く?」
今日はハロウィン。
ここは日本、と言えど……今の時代、そんなコトはもうお構いなしで。
すっかりかぼちゃ達に侵略された街並みの中を毎日通勤している左之さんが、お菓子を用意してないハズがないけど。それでも寝起きの開口一番に言ってやったら、反応出来ないかもしれないでしょ(もう用意してる気もするんだけどね)……なんて、僕の企みは寝坊によって終わったわけで。
「出来た!じゃあコレ、玄関まで超特急!」
「あいっ!ちょーとっきゅーー!」
とりあえずハロウィンの計画はまた別のを練ろうかな、と考えながら、包み終わったお弁当箱をそーじに渡す。
パタパタと全力で走っていった小さな背中を見送りながら、僕は急いでキッチンの片づけを始める。
僕も左之さんをお見送りしたいのは山々だけど、とりあえず包丁だけはさっさと片付けてしまいたい。ガスの元栓も閉めないと。最近何かと「お手伝い」をしたがるあの子が、危なっかしくて大変なんだから。
パタパタパタ……
1分待てと言われ、
玄関で靴を履いて待機してすぐ。
キッチンの方から走ってくる小さな足音が聞こえてきた。
どうやら今日の見送りはチビらしい。
頭の上には、きちんと包まれた弁当箱。
そんな持ち方したら走りにくいだろうに、何でいつも頭の上に乗っけてんだろうな――なんて疑問を抱いてたのはつい先日まで。どうやら総司曰く、俺の手から一番近い位置で届けようとしてるから……なんだそうだ。
確かに、そーじが胸に抱えてくるものは俺がしゃがまないと受け取れないんだが、頭の上に乗っけてきたものは立ったままでも手にする事が出来る。(結局近くで顔を見たくって、しゃがみこんじまうんだけどな)
「あい…もやってきた!!」
「おぉ!凄ぇ速えな!!ありがとな」
「えへへっ」
ちょっとオーバーなくらいに驚いてみせれば、照れたそーじが満開の笑みを披露してくれる。
最近では毎日のように作ってくれるようになった…にも関わらず、いまだその包みを見る度に頬が緩んじまう総司手製の弁当箱を受け取ろう、とした瞬間―――
「んと、あと!あえ……うぅ〜と」
「…………どした?」
何か言いたそうに、必死に上を見上げてくるそーじの姿。
「とりぃ……んと、とりにくぅ!ってゆってた!」
「………鶏肉??」
今日の弁当はから揚げ、らしい?
帰りに鶏肉を買って来い、か?
それにしちゃ何か変な気がする。
思うも、これ以上ここで話し込んだら完全に遅刻だと慌てた俺は、そーじの頭を軽くポンと撫でてから家をあとにした。
(昼休みにメールでもしてみるか…)
続?
台所でお料理する総司の足元を、そーじがちょろちょろしてたら可愛いと思うんですよね!リアルな話、邪魔だろうけどw
会議か何かでいつもより家早く出なくちゃならない左之さん、だったハズなのに、うっかりいつも通りの目覚ましで起きちゃって、焦りつつも朝ご飯とお弁当用意する出来る主夫――になってる沖田さんとか見てみたいって妄想(^^)
私の頭がそろそろ病気を通り越しt(ry←