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たとえばの話

ちょっと不思議の総司語り


たとえば、

僕は


【深海魚】


好きなように生きていいんだよ。
お前はお前のままでいいんだ。

暗い海の底で、一人気ままに泳いでいた僕を、初めて肯定してくれた人……それが近藤さんだった(悔しいけれど、いつもその隣にいる誰かさんも。)

静寂が広がる、深い青や緑に囲まれた穏やかな、闇の世界。
誰もわかってくれなくても――其処は、僕が僕で居られる大切な場所――まさしく「唯一の楽園」だったから、認めてくれる人がいるのは本当に嬉しいことだった。

僕は居たいところに居ていいんだ。

僕がしたいことをすればいいんだ。

暗くて深い海の底で、それでも僕は自由だった。



だけど、ある日突然、僕を無理やり外へ連れ出そうとする人が現れた。

はっきり言って大迷惑。

僕の事なんて放っておいて。
僕は誰にも捕らわれやしない。

空の色なんて知らないけれど、その色に焦がれた事はない。
太陽の光なんて無くたって平気、そんなものに憧れた事なんかない。

確かにそうだったはずなのに。

光なんて知りたくなかったし、
温もりなんて欲しくなかった。
そんなものなくても僕は幸せだったのに。

知らなければ、僕は僕のままでいられたのに!




たとえば 僕が、

海淵に潜む深海魚なら。

左之さんは――突然現れた非情な人間。情け容赦なく僕を楽園から連れ出してしまった。


海の奥深くから引き上げられた魚がどうなってしまうか知ってるの?


おかげで僕はぐちゃぐちゃだ――


太陽は眩し過ぎて直視なんて出来やしない。知らない温度にも眩暈がして、何だか呼吸も上手く出来ない。


それなのに。


あなたが笑顔を見せるたび、
あなたが僕を抱きしめるたび、
心に溜まっていくコレは何?

あなたが余所を見てるとき、
あなたが僕以外に触れるとき、
心に溜まっていくコレは何?

(気持ちが溢れ出しそうになるのを、飲み込むのがこんなに辛いなんて!)

嗚呼もう、どうかこれ以上、僕を表に連れてかないで。

醜い姿を曝け出したくなんかない。

こんなに醜くなった僕でも
貴方はまだ―――、





お前は愛されることが怖いんだよな。
でも俺は、そんなお前が愛しくてたまらない。
だから全部で愛してやりたい、それが俺の我儘だって分かっていても。


イメージ文。
雰囲気だけで読んだって下さい的な(駄目ぽ)……しいて言うなら。原沖の左之さんは、総司を恋愛の土俵に無理やりあげた人なのかなと思っています。そんな感じ!?




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