小説 | ナノ





とある男子高校生の憂鬱

第3者目線の変な原沖 第2弾/現代

生まれて初めて彼女が出来て早3ヶ月。
幸せな高校生活を送っていた俺に、とうとう“その日”が訪れた。

『今日、家に誰もいないんだ』

泊まりにくる?――まさか、漫画やドラマでしか聞かないと思っていた、かの有名な台詞を現実で聞ける日がこようとは――俺は、心の中で信じてもいない神様に礼を言った!ありがとう、何度言っても言い足りないくらいだ!

……が、しかし。

ここでようやく俺は、大きな試練が待ち受けていることに気が付いたのである。


【ドラッグストア(現代)】


彼女の家に初めてのお泊り。
そう、考えなければならないのは“例のモノ”の入手方法だった。俺は男のエチケットたるコンドーさんの存在を忘れていたのだ。詳しそうな友人に聞けばいいのだろうが、ちっちゃなプライドがそれを邪魔する。

近所の薬局……なんて絶対パスだし。
人と会わないなら自販機とか?
(だがしかし、俺の学校や家の付近にそんなものは見当たらない)
コンビニでさりげなく、って言うのがスマートなのだろうか?

しかし、バイトを禁止していないうちの学校のコンビニバイト率はハンパじゃない。学校も住宅街も危険すぎる。

迷った末。

俺は駅からも住宅街からも離れた場所にある、大手ドラッグストアへと自転車を飛ばしたのだった―――


***** *****



ちらほらといる家族連れやカップル、そんな奴らが俺の一挙一動を見ているなんて、これぽっちも思っていないが……しかし、なかなか勇気が出ない。

俺は、狙いのものを横目に確認出来る近くの棚で、意味不明な健康食品を手にしていた。堂々と買う、なんて簡単にいかないのは性格の問題だ。どうしようもない。

とりあえず横目でチラチラと確認するが、そこで更なる問題が立ち塞がった。

(種類が多すぎて、よくわかんねぇ!)

下手に大きな店を選んでしまったためだろうか?
それとも、あんな風に何段も並んでるのが普通なのか?

俺がそんな悲鳴を心の中で上げている、その横に―――いかにも女にモテそうな、同じくらいの年の男が現れた。ムカつくくらい顔もいいし、わけて欲しいくらい背も高い。こんな奴なら、俺みたいな小さい行動はしないんだろう。

実際、さぞ女にも遊び慣れていそうなソイツは、仁王立ち(何故?)で、例の棚を隅から隅まで見渡している。その視線には、ためらいや恥じらいは微塵も感じられない。

同じ男として、ちょっと羨ましくもある。

ソイツは商品をひと通り見渡すと、当たり前のように1箱――…いや、2箱、3箱……俺が欲しくてもなかなか手に出来ない“それ”を手にしていく。

(どんだけ遊んでるんだよ……!!)



「――なんだよ総司。そんなモンいらねぇだろ?」



そこへまた、これまた遊んでいそうな!チャラそうな男が!軽薄な台詞とともに現れた。やっぱりムカつくくらい顔が良くて、わけて欲しいくらい背が高い。

「――いるってば」
「いらないだろ?」

例の棚の前で、アレを手にしながら軽く会話をする2人。いかにも手慣れた感じがまたムカつく――のに加え、その発言にも問題があった。

同じ年くらいの奴(仮に少年Aとしよう)は、どうやらモラルのある奴みたいで俺もちょっと安心したが、チャラ男の方はやはりと言うべきか、モラルもなっていないようである。
大人だからデキちゃっても問題ない、とか、そう言うことなのだろうか?

俺は、いらない健康食品を片手に隣の棚に耳を傾けた。

「いります…て言うか、して下さい」
「何でまた急に」
「急じゃないよ、ずっと思ってたし」
「マジかよ。初耳だぞそんな話」

―――――?
何か、会話の内容が少しおかしい気がするのは、気のせいだろうか?首をかしげる俺の横で、ソイツらは爆弾発言を投下し始める。

「中でした時のがイイ顔してるけどな」
「うるさいよ。よくないよ、全然よくないから!」
「……なんだよ。今朝だってお前が抜くなー…って、痛っ」
「左之さんサイテー!デリカシーないんじゃないの」

半分白くなる頭の片隅で、いやでも理解するその内容。


―――間違いなく、こいつらデキてる。


俺、そっちの人たち初めて見たなぁ、なんて変に冷静に思う半面。
マジかよ、男同士なんて冗談じゃねえよ、とも確かに思うのに。ついついソイツらの会話に耳を傾けてしまうのは、思春期のサガと言うかなんと言うか。色々と興味のあるお年頃なワケで。

「買わないんだったら……今日はもうしない」
「くくっ、今日は…?」
「…っ!平日も嫌だし!朝も、イヤだし…それと、」
「ハイハイ。わかったよ、買うから。ほら」

チャラ男が手にしていたカゴを差し出し、その中へ少年Aが手にしていた3箱が投げ込まれる。それに何故か、チャラ男が追加した4箱、5箱…加えて何箱か…が投じられ――…一緒にカゴに入っている洗剤や歯ブラシたちが気の毒になってくるような、買い物カゴが出来上がった。

(なんだ、あれ…)

「……何ソレ…」

少年Aとハモってしまった。

「買ったら何回でもイイヨ、ってことだろ?」
「バカじゃないの。言ってないでしょ」
「ま、あって困るもんじゃねぇしな。場所のバリエーションも、増やせてお得だし?」


それにしたって、いくらなんでも、多すぎだろう!

ヤりたい盛りの俺だって、彼女との行為に胸躍らせている俺だって、そんなツッコミを入れてしまうくらいの量なのに、棚に戻す素振りも見せないと言うことは、つまりは少年Aも満更ではない、ってコトなんだろうか?


「ねぇ、ところでさ。夕飯どうしよう。食べて帰る?」
「リクエストあるなら作ってやるけど」
「デザートも?」
「デザートも。ま、俺のは――もう決まってるけどな?」
「……ソレって、かなりオヤジ発言ですよ」
「なんだよ総司。エロい事でも考えたのか?俺はただ、決まってる…って、言っただけだろ」
「!!!」


大量の“アレ”を入れたカゴはそのままに、奴らはそんな……新婚バカップルも真っ青な会話をしながら去っていく。男なんぞに興味はないし、同性愛にも理解のある俺じゃないけど―――なんか、幸せそうで、なによりだ、うん。


そんな嵐が去ってみれば。


店に来た時の憂鬱な気持ちが、いっそ清々しいくらいに晴れている自分がいるわけで(第一、少年A達のレジの後のインパクトなんて石ころ程度のもんじゃなかろうか)

 勇気と驚きをありがとう――!

心の中で、自分でもよくわからない礼を言いながら、少年Aが最初に手にした――ちょーうすがた。まるでつけてないかのようなふぃっとかん――だか何だかが売り文句らしいソレを一箱手にとってみる。

俺はもう一度、心の中で“奴ら”に敬礼した。

 ありがとう、末永くお幸せに!


さぁ後は、「夕飯作るね」と言ってくれていた彼女に会うため、レジを通って自転車を必死にこぐだけだ!



(でもやっぱり、あの量はどう考えても多すぎだと思う!)
【休日の一例】
朝起きて→コトに及ぶ→事後処理→のハズがコトに及ぶ→出掛けるハズが半日がつぶれていた……そんな最近の休日にご立腹だったんだと思います。でも多分、買ったモノは1度くらいしか使わない。学校ならば活用できるかもしれないけどww
あ、あと車の中とk(ry



← →

TextTop




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -