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濡れた哀情

青よりも深い紺青の空に、酷く冷えた三日月が浮かぶ夜。

静まり返った子の刻、屯所の一室に揺らめく二つの影が重なり合う。


「…んっ…ぁ…っ」
「総司、もっと腰上げろ…」

布団にうつ伏せになり原田の雄を深々と体内に咥え込んだ沖田の腰を両手で掴むと、原田は更に最奥へと欲望の楔を打ち付ける。

「あぁっ…や、ぁ…んっくぅ…」

艶かしく腰を揺らし快感を貪る沖田の姿に湧き上がる情欲。

それと同時に溢れ出す感情を原田は無理矢理その胸の内に押し込める。


―――――愛してる。


それは決して口にしてはならない感情。

その感情は明日をも知れぬ日々を過ごす己にとって枷となるものだから。

人を愛する、依存するという事はそれだけ死に対する恐怖を助長させる。

そして残していく愛しい者への執着を産む。


新選組組長という立場である限り、その枷を背負う訳にはいかないのだ。

それは同じ境遇である沖田もまた然り。

己の存在理由を唯一見い出せるこの新選組という場所に在り続ける為には不要であるべき感情。


しかしお互い内に秘めた想いは同じなのだと、幾度と無く重ね合った身体が教える。

繋がった箇所から伝わる熱が狂おしい程愛しくて、このままひとつに融けてしまえたらと目の前に無防備に晒け出された身体を欲望のままに貪った。



「はぁっ…左之さ、んっ…もぅ、僕…っ」

一度達した後にも拘らず、沖田の自身は再び頭をもたげその先端から快楽の蜜を滴らせている。

「なんだ、またイキたいのか?」

意地悪く耳元で低く問えば素直にこくりと頷く沖田に、口角を吊り上げた原田の指がその自身に絡み付く。

「あぁっ…やぁぁ…っ」
「ほら、好きなだけイケよ総司…」

打ち付ける腰の動きを早め蜜に濡れるそれを根本から扱き上げると、沖田は背を仰け反らせ一際甲高い嬌声を上げる。

「んっあぁ…さ、のさ…んぅ…ひっあぁぁぁぁっ」

びくりと大きく身体を震わせた沖田はその欲を吐き出した。


肩を上下させ浅い呼吸を繰り返す沖田の濡れた唇に誘われるように、原田は己のそれを深く重ねる。


「ふ、ぅ…ぁ…左之、さん…」
「…総司…」


絡み合う視線に禁忌の想いを馳せて。

決して交わらない道を歩むお互いの運命を嘲笑いながら、その狂おしくも儚い熱を再び求め合った。



咽び泣く恍惚に濡れた三日月の夜が、行き場の無い哀情を飲み込んでいく―――――。







end.


柚魅サマより相互記念!!
色気エロ気満載カプだけど、幕末はどっか切ないのが原沖の魅力だと思っています真顔
本気になるはずじゃなかった相手に本気になっちゃった…てのが原沖的なのかなと、いつも真剣に考えているもので!

素敵文ありがとうございました!少ない原沖同志として…これからも宜しくお願い致します!



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