小説 | ナノ





give and take

現パロ/社会人/原+沖
愛はないけど原沖ってこうかな?的な



恋人が欲しいと思ったけれど、恋愛するのは面倒だった。



したいと思っても、すぐに出来ないのがこの感情の厄介な所で。
したいから“する”のではなくて、したくなくとも“落ちてしまう”のが恋なのだと云うことは、過去に経験済みだった。

息が詰まりそうな程の胸の痛みも、高鳴りも。近くに居るだけで指先が震える、そんな感覚も。知りたくはなかったのに知ってしまった―――その相手が、自分に“落ちて”くれなかった時の、絶望感も。

生まれて初めての、本気の想い。
終わりを知った時の、耐え難い空虚。

だから、忘れるために恋愛しよう、と努力をしてみた。

けれど、手当たり次第に付き合ってみた相手は、ただただ面倒くさくって。恋をしようと一緒に居たのに、心はどんどん冷えていくだけで……一人じゃ寂しいと思うのに、人が煩わしくなった。

誰かと居たい時にだけ、一緒に居て欲しい…なんて、そんな都合のいい相手滅多にいるもんじゃない。

「好きだから付き合って欲しい、それだけで良いから」と言い寄ってきた女の子達は、1つ我儘を聞くたびにどんどん我儘になっていく気がして。溜まっていくのは、不満と苛立ちとストレスばかり。
同性――と、関係をもったこともあった。
一度だけ本気で好きになった人は、男、だったから。もしかしたら女が駄目なのかもしれないと何度か試してみたけれど、結局何も変わらなかった。本気をぶつけられても、鬱陶しいだけ。


自分の心にも相手にも、嘘をついて傷つけて、最低のことをしているだけだ――気付いた時にはもう、全てがとにかく面倒で。恋を探すことはもうやめようと、ひたすら仕事に打ち込んだ。




「なんだか、似てるな」と彼は言った。



仕事の関係で知り合って、なんとなく意気投合して飲みに行った人。
その時は、それだけの関係だった。

酒の力も手伝って互いに饒舌になった頃、仕事の話はいつの間にかプライベートへと発展していた。
誰かと恋愛について語るなんて今までしたことはなかったけれど――話を聞いて欲しくなるような、愚痴をこぼしても許してくれそうな――そんな親しみやすさと包容力をまとった人だったから、ついつい口を滑らせてしまったのだと思う。



「運命の相手…なんてのが居るんだとしたら、間違いなくソイツだ…って、思ったんだけどな。思ったのは俺だけだったみたいで、格好悪いったらねぇよな……」


だから――本気の相手を探してみた。


「自暴自棄になった、って訳じゃねぇんだ。けど、とにかく相手を知らなきゃ惚れる事も出来ねぇよなって思って……付き合っては別れて―――馬鹿だよな、その度に俺と同じ気持ちを相手に味あわせてんだ……って気付くのが遅すぎた。傷つけるだけ傷つけて、それでも誰にも本気になれねぇ」


それで結局、恋を探すことに疲れたから仕事に励んだのだ、と。

自嘲気味に笑った姿が、かつての自分の重なって。


「似たもの同士ですね」と僕も笑った。




どうしてそんな話になったのか、どちらから切り出したかなんて、そんな事はもう定かではない。


互いに似た恋愛観をみた僕らの、利害が一致しただけだ。


恋を探すことに疲れたけれど、誰かに傍に居て欲しいときもある―――求めているのは都合のいい存在。
手当たり次第恋人を作ることをやめたせいで、困ってしまったのは“性欲処理”


手を取り合うには充分な要素を兼ね備えていただけ。



だから僕らはルールを作った。

『決して本気にならないこと』



その1つだけを条件に
――“恋人ごっこ”を始めたんだ。



「よろしくな、総司」
「――コチラこそ、左之さん」


こんな僕らが出会ったのは偶然なのか必然なのか。

二人の片想いはご想像でお任せで。
原沖だったらよくある事ですね(@セフレ)←ぇ!!どっちかだけ本気になるBADENDと、両方本気になってからのBADENDとか。やっぱりハッピーエンドかなとか…まぁ色々。うっかり続きそうなので、ゴミ箱じゃなくこっちにUPってみました、趣味全開。



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