すき

俺はどこで失敗したんだ?いつもなら、女の子相手なら、俺のこと好き?とかどう思う?と聞けば、皆照れながらも素直に答えてくれた。今回もきっとそうだろうと自信があったのに。猪里は、俺を拒絶してきた。

「さて、どーすっかNe…」
夏休みの宿題はなんとか一人で適当に片付けたが、それよりももっと重要なのは猪里の事で。あんな反応をすると思わなかったし、なんか泣いてた…し、俺のせいなのか?…俺のせいか。
「とりあえず顔見てマジで話すしかねぇKa。っつーか、Ahー…」
俺はいつからこんなにも猪里を好きになってたんだ?と苦笑した。

「勝手にお邪魔しまーSu」
インターホンを押さずに猪里の家へ上がり込んだ。以前来た時に、家に居る時は鍵をかけていないから勝手に上がれ、と猪里が言ったから。それに、訪ねてきたのが俺だって分かったら猪里は家の中に入れてくれないだろうし。

「猪里〜…?」
部屋を覗いてみると、猪里は布団の中にいた。
「あのー、まだ8時なんですGa、」
「………」
「…Ahー、猪里にすっげー大事な事言いにきたけど寝てんならしょうがねぇKaー」
わざとらしく言ってみれば。
「なんしに来たんよ…」
「やっぱ起きてTa」
そろそろ、と布団の中から顔を出す猪里に俺は胸をときめかせた。だって、なんだ、この生き物は。言葉とは裏腹に、すごく期待した目をしてるじゃねーか。
「…猪里、」
「……」
「猪里の事マジで愛してんだけどSa、どうしたら分かってくれんNo?」
「じょ、冗談っちゃろ、」
「本気」
「嘘や、そん、な嘘、信じな」
「嘘じゃねぇ…もう逃げんなYo」
ここまで追い詰めたんだ。逃がしやしねぇ。

「言えYo、俺が好きだって」
「…っ」
「猪里」
「す、すいとー…」
小さな小さな声で言われ、俺は我慢できずに猪里を抱きしめた。



(すすき,花言葉―心が通じる)




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