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「―――あっ、あっ、」
「―――っ」

――――イったな。
一際大きい嬌声と、そのあとに聞こえる息遣いで、扉一枚隔てたところの状況を察する。
僕はもぐもぐとお昼に食べようと思っていたサブウェイのサンドイッチを食べながら、彼氏が出てくるのを待った。どうせヤってるだろうとは思ったから、一人分しか買ってきてないし、時間もかかると思ったからちょうどいいや。もぐもぐと口を動かしながら、携帯を見る。生徒会の人からや、親衛隊長からの毎日の報告などが書かれたメールを読んでいると、ガチャリとドアが開いた。

「……、蘭」
「臭いから早くお風呂入ってきて」

彼氏が少し驚いた顔で部屋から出てくる。
何か言おうとしていたけど、その前にシャワーを浴びてくるように目も合さないで言った。誰のか知らない体液の匂いとか、きつすぎ。
僕、きれいなものしか好きじゃないの。



「なんでお前がここにいんだよ」
「別にいいでしょ」

今日は僕なりに賭けをしに来た。
記念日だとかには執着なんて全くしてないけれど、区切りがいいから。
付き合って半年の今日、もしも浮気をしていなかったら、僕はこの状況に甘んじる。このまま何も変わらない毎日を、とりあえずあと2ヶ月は続けるだろうなあ。
もしも浮気をしていたら、


「これから楽しくなりそうだし」


―――僕も好き勝手させてもらおう。


「鷹栖(たかす)」
「……あ?」
「相手の子ほっといていいの?」
「気絶してるからいいだろ」

ふうん。別にどうなってようと興味ないからいいけど。
とりあえず残っていたご飯を食べる。彼氏――鷹栖(たかす)はそんな僕を見て舌打ちを一つ零すと、向いの席に座った。

「鷹栖の分はないよ」
「別にいらねえよ」


それから浮気相手の女の子が出てくるまで、二人でまったりとテレビをみたりして、久しぶりに穏やかな時間を過ごした。
うわっほい!と女の子とは思えない悲鳴(というか奇声)を上げた浮気相手の子に好感度が上がる。くすくす笑うと、真っ赤になって出て行ってしまった。

「追っかけなくていーの?」
「なんで俺が」
「一応今までよがらせてた相手だし」
「……お前顔はめちゃくちゃ綺麗なのに、言うこと下品だよな」

にやりと口角を上げて意地悪く笑う鷹栖に、僕もにこりと笑みを返す。
なんとなくいい雰囲気になったから、そのまま唇を合わせた。


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