1ヶ月

瀬尾唯(せのお・ゆい)は現在、生徒会室で、トップである生徒会長、永知鷹臣(えいち・たかおみ)に押し倒されていた。

「な、なに、…っ」
「唯、」
「っ?」

べろり、と無理矢理連れてこられて倒された仮眠室のベッドの上で、頬をなめられた。
その生生しい感触に思わず唯が声を上げると、くつくつと永知が喉を震わせ低く嗤う。
困惑する唯を置いて、永知は一人楽しそうに口元を弧に釣り上げた。

「あー、もう、なんでおまえそんな可愛いの」
「…え?」

涙目で見上げた唯に顔を赤くして口元を押さえると、永知はそのまままたべろりと今度は首筋を舐める。

「〜〜〜〜っっ」
「もうさ、我慢できねえんだって」

ぽつりと呟きながらボタンを一つずつ外していく永知に抵抗するが、ただでさえ体格差がある上に、体勢が悪いため唯は圧倒的に不利な状況にいた。

「ずーっと生徒会で一緒になる前からおまえのこと見ててさあ、ずっと抱きたかったのに、いざ生徒会になったら仕事仕事っておまえのこと全然抱けなくて。いらいらしててついおまえのこと隠し撮りしたり、下着で発散しちゃったりしてたんだけどさあ。やっぱ本人が目の前にいんのに我慢なんて出来るわけねえじゃん。かと言って他の奴抱くのはおまえじゃねえからやだし。もう人の目なんか気にせずに押し倒そうとか思ってたら、…やーっと今日二人っきりになれた」

聞き流せないほどの変態的なことに唯は眼を見開いて驚く。自分が慕ってきた会長が、実はこんなに変態で、しかも、唯のストーカーだという事実。
不可思議になくなっていた使用済みの下着や、自室に送られてきた精液入りのコンドームはすべてこの人が犯人だったのか、と思うと、危機感がさらに募る。

他の生徒会メンバーは、書記はもうすぐ大会が近いため部活に、会計は風邪をひいてお休み、庶務はクラスの雑用、とみんながみんなタイミング悪く休んでいる。
今日は二人きりですね、とのんきに笑って言った自分が嘆かわしい。

「やだやだ、離してかいちょ…!!」
「いつもみたいに鷹臣って呼べよ…」

(呼んだことないよ!!!!)
本格的に泣きだす唯にさらに興奮してはあはあ言いだす永知。

「お前の泣き顔ほんっとそそる。おれのプレゼントに泣きながら喜んでくれたし、だからくせになって何回も送っちまったんだけどさあ」

上半身が裸になる。
その間唯も必死に抵抗したが、脱がされたシャツで両腕を縛られてしまい、今度こそ抵抗できなくなってしまった。

「あー、もう、くそ可愛い…」

うっとりと呟くと、次の瞬間キスで唇をふさがれる。声を上げて助けを求めていた唯の口は簡単に永知に侵略された。
唾液を全て吸い取ろうとするように永知の舌が咥内を這い、縦横無尽に動き回る。歯列をなぞり、必死で追い出そうとする舌を器用に絡め、ぴちゃぴちゃと水音が部屋に響きわたった。

「んぅ、ん…っぁふ…っ」
「…」

長い長いキスが終わりやっと解放された時は、唾液の糸が伸び、唯は赤くとろんとした目ではふ、と息をつく。
べろりと唾液でぬれた唇をぺろりと永知は舐めると、そのまま獲物をとらえた肉食獣のように目を光らせ、




「イタダキマス」



覆いかぶさって好き勝手に懐柔する永知に、キスで腰砕けになった唯は抵抗できず。

―――ドラマのように、助けが来ることはなかった。




end

気持ち悪いだろう、これが1ヶ月記念小説なんだぜ……?
コメディです。
このあと全力で逃げる唯とはあはあ言いながら追いかける永知の学園公認の逃走劇が始まります。






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