けもの


生憎のところ今日は雨で、濡れるのが癪だからこういう日は外へは出ない。ひとつの習慣に成り下がる。けれどやっぱり鬱屈としてしまって、作業にも飽きて寝てしまう。雨は嫌いだ、と呟くのもまた習慣で、変えようにも変えれない下らない習慣。その程度

「胸くそ悪いな、もう」

眠りというのは存外恐ろしいものだと知るのはこれが初めてではないけど、やっぱり未体験の感覚だった。慣れない習慣。
たまたま今回見た夢は自分が死んでいく姿で、その死に様が哀れだった。お似合いじゃないの、だなんて威勢も張れやしない。ひとりぼっちで知らないとこで、苦しんで死んでいく。誰も俺を見ない、見なかったし居ないから、やっぱり真性のひとりぼっち。悲しいね慣れてるけど。それでもやっぱり慣れてたって怖いものは怖いもの。

「気持ち悪い」

ようやっと出した言葉は多分、晴れるだけありったけの威勢。本当じゃない、結局は虚勢だけどその位じゃないと怖くて怖くて死にそうだった。
「気持ち悪い」
再三吐いたそれはまだ出きらないようで、しつこく喉でつっかえていた。

自分が消えたあの瞬間を思い出せばそれはもう怖くて怖くて、生きたいと思ってしまって、執着する姿はけもののようで、それでもここが好きだから仕方ないと割り切っておくから、

(だからまだもう少し許しておいて)


いのちを貰ってあいを恵む、その本質に俺はまだはまりそうにないけど、あいを叫ぶだけ、それだけなら生きるための何かになるだろう。だから多分、怖いひとという存在を愛するんだと思える
けものだってなんだっていい。だからひとりぼっちを怖がったって、いいでしょ


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