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紅助は祭と目を合わせるなり、周りの生徒を押し退けてずかずかと近づいてきた。

「なんで、知り合い?」
「綾瀬さんだろ…?」
だの。いろいろな言葉が教室内を行き交う。

祭は目を輝かせながら、近づいてくる紅助を見つめていると、
「ちょっと来い。」
紅助に腕を引っ張られた。

「ちょっと!やばくない?」
周りでは驚きの声が至るところであがる。

紅助は周りの嫌なざわめきを無視して、祭をを引きずっていった。

ーーーー


「なんで紅助はこっちに来たの?」
6組をでで、少し歩いた所で祭は尋ねた。

すると紅助は急に祭の方を向くと、
「僕らはほんの一週間前に会ったばかりだよな?」
と眉間にしわを寄せて呟く。

祭は目を丸くしてから、
「うん。たぶん。」
と首を傾げた。

祭の記憶にはピエロ事件の時に会っただけのような。

「いやいや」
呆れたように息を吐きながら紅助は苦笑いした。

「初対面で呼び捨てて、なかなかやるな。」
祭がぽかーんとしていると、

「まあそれはいい。
でも、僕と知り合いっていきなり他の人にばれちゃったわけだけど。」
と相変わらず気難しい顔をしている。

「へ?」
祭が「なんで?」みたいな顔で紅助を見つめた。

すると
「この学校に、他にもブラック企業している人間がいるとか思わないのかい?
僕は警察で、高校生で夜の町にくりだしている人間は何人か知っている。
その僕と知り合いなのだから。
よそから見れば、お前もブラック企業しているのかな?って思われるぞ。」

「そっか!」
祭は目を丸くして、手を叩いた。

「確かに、そういうのはバレない方がいいって、双子にも言われてたよ。」
祭が整った顔を上にあげて、「また、やっちまった。」と額を触ると、

紅助は先ほどより、気の毒そうな表情をして、

「お前は本当にバカなんだな。」
と祭を見つめた。

祭はびっくりしてから紅助を睨み付ける。
「確かに頭は悪いですよー。でも、そこまでいう?」
紅助は哀れみの目を向けて、
「その双子も、お前たちのチームなんだな。
ブラックナイトは少なくとも4人はいるわけだ。」

「あっ!ああー。」
祭はまた「やっちまった」の顔をした。

「これでもあたしがリーダーなんだよ。
ウケるでしょ。」
祭が明らかにテンションを下げながら苦笑いした。

「まあ頑張れ。」
紅助はうなだれた肩をポンと叩く。

その瞬間、祭はまたパッと顔をあげると
「そういや、なんで紅助は転校してきたの?」
すると紅助はどこか決まりが悪そうな顔をした。

「僕はー「キーンコーンカーンコーン」

「うわぁあ!」
祭は急に叫んだと思うと、全力疾走。廊下の奥へと消えた。

「忙しいやつだな。」


ーーーー


「ちょっと聞いてくれよー。」
化学の実験室。

明らかに、嬉しそうな声で長谷君こと長谷潤が化学室の大きな机に顔をうつ伏せて呟いた。

奏と響は、先ほどまで見ていた奏の白い携帯から目を離し、潤の顔を見上げる。

「「ん?」」
すると潤は目をキラキラさせて、
「昨日、ボールを取ってもらったんだ。」
「「ふーん。今猫のブログ見てるからあとでね。」」
双子は再び、白い携帯に目を向けた。
「ちょっと!」
「うそうそ。誰に?」
潤が焦った瞬間、奏が微笑んだ。
「はっせ、好きな子いんの?…まさか男とか!」
響が無邪気な顔で潤をつつくと、

「あっ!」
急に潤が化学室の入り口側の窓を見て大きな声を上げ、立ち上がった。

双子もその視線を追う。
化学室の前を一人の女生徒が走り抜けた。
「あの先輩だよ。美人。」
それを聞いて双子は顔を見合せ、
「残念。彼氏いたよたしか。」

にっこりと笑って化学室の入り口側の窓を見ていた潤の顔が急に双子の顔をとらえた。

「まじか!やっぱりなー」
潤は前髪をかきあげて、ストンと椅子に座る。

そのあとすぐに顔をあげると、
「なんで?知り合い?」
入学して一ヶ月も経っていないのに、ましてや帰宅部なのに、他人の情報を得ている双子に違和感を感じ、潤は首をかしげた。

「「だって、お姉ちゃん。」」
双子は息ぴったりで潤に衝撃の事実を伝える。

「えっ?」
潤はもう一度、双子の顔をよく見てから、
「似てるような。でも、廊下とかでしょっちゅうすれ違うじゃんか。」
て焦りながら、笑った。

「だって、わざわざすれ違う度に手とか振ってたらキモいじゃんか。」
「顔はほとんどおんなじだよ。きっと。」
立て続けに言われ、潤は怯んだが、

(じゃあ、しゃべれるのか!)
と内心ガッツポーズをしていた。

ーーーー

そのころ
「綾瀬、遅刻な。」
結局遅刻がついてしまった祭であった。









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