狂ったピエロ



祭はチャットに最後のコメントをして、携帯を閉じた。
遠くの海沿いの小道に明らかに様子がおかしい2人の姿が見える。

そのとき
「うわあ!」
と、かすかに男の叫び声が耳に入った。

「小鳥行くよ!」
その言葉に小鳥はうなずく。
それを確認したあと、祭は携帯をポケットにしまう代わりに、ズボンに引っ掻けた拳銃を抜き取り、もめている2人の方へと走った。


近づくにつれて、何が起こっているのか見えてくる。
叫び声と同時に地面に倒れたのは、男。
まだ20代だろうか、かなり若く見える。
そして、地面には真っ赤な液体ー血が大量に広がっていた。

その男の前に立っているのは、小柄な女性。手には血のついた小さめの斧をもっている。
そして顔はピエロ。


「何をしている!
やめなさい。」
祭は拳銃をピエロに向けた。

「警察?夜のゴロツキ?それとも、マフィアごっこの高校生?」
ピエロはこちらを見ないで呟いた。

地面では、男が口を開けて泣きながら祭を見つめている。

男の喉は真っ赤に染まっていた。
「最初に、男の喉を潰したの。これで声がでないでしょ。
まあ、世の中物騒になってきたし。夜の銃声、絶叫なんて少なくないんだけど。

こいつのした"同じやりかた"でこいつを殺してやるわ。」
ピエロは未だに男に目を向けたまま呟いた。

「よくしゃべるね。」
小鳥は小さく呟くき銃を持った右手をピエロに向ける。

パンッ


銃声がなったあと、周りの音が一切なくなったような気がした。

小鳥はいきなり、銃をピエロめがけて発砲したのだ。
「小鳥!」
祭の叫び声と同時に、

小鳥は目の前に拳銃を構える。

キンッ

固い金属同士がぶつかりあう音。
「速いね。」
小鳥は拳銃でピエロの斧を支えていた。

小鳥の弾をよけてから反撃までの速さは尋常ではない。

祭はそのまま、小鳥と向かいあっているピエロめがけて、ピエロと小鳥が弾の軌道の同一直線上に並ばないように発砲した。

「遅い!
こんな鉛玉じゃ私を殺せない。」

ピエロは素早く後ろに下がって銃弾を避けたあと、ナース服の後ろから包丁を4本抜き取る。

その時、
パンッパンッパンッ

小鳥と祭はピエロ狙って同時に数発発砲する。

それと同時に、ピエロは小鳥の方に走った。
「だからダメだって!
私を殺せるのは、あの真っ赤な炎だけよ!」
そう叫んで飛び上がり、小鳥の拳銃めがけて包丁を一本投げた。

「きゃっ!」
包丁は見事に拳銃にあたり、恐ろしい程の切れ味で小鳥の拳銃を真っ二つにしてしまう。

パンッパンッパンッ

祭はそのまま、銃弾をピエロに撃ち込んでいく。
ピエロは空中で一回転するなり、左手で包丁を一本祭に向かって投げ、右手で包丁を握って地上におりた。
祭は飛んできた包丁を避けたあと、口で器用に弾を詰め替えながら小鳥を助けるためにピエロと小鳥の方へと走った。

しかしおりた位置はもちろん、小鳥の目の前。
ピエロは思い切り、使えない銃を持った小鳥を蹴飛ばした。









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