三年目の春


4月12日



「先生ー!一年生どんな子がいたの?」
さすが有名私立!と言うような体育館で祭の隣にいる坂井 美奈子は先生に聞いた。

担任の若い女教師は首をかしげてから、手をポンッと叩いた。

「可愛い女の子は多かったよ。」
とにっこり笑った。

美奈子は頬を膨らませて、
「女の子かよ。」
と小さな声で呟いた。
すると、
「イケメンいないかな〜」と後ろの横田 羽菜が呟く。

祭もはっきり言ってかなり期待していた。
「たしかに。この学年かっこいい人が少ないから、」

「祭は千早君がいるんだから。贅沢言うな、」
美奈子が激しく祭のでこに突っ込んだ。
「いたぁ!」
といいつつ祭は激しく照れる。


そう、千早君とは祭の"初"彼氏なのだ。
「本当に卒業式に告ってよかったよね!」
羽菜が嬉しそうに手を合わせた。


千早君は今年大学生。一つ年上だ。


その時、
『新入生の入場です、拍手で迎えてください。』
という放送部のアナウンスが体育館に響いた。


みんな一応拍手する。

まずは一組から順番に八組まで入場。
そのとき
「やっぱり特待クラスはいかにもな奴が多いね〜」
美奈子がこそこそ話している。



『新入生挨拶。新入生代表八組、綾瀬奏君。』
みんなが「どうせいかにも君だろう」と思っただろう。
なんせ新入生代表挨拶は入学試験のトップがするのだから。
もちろん特待生の誰かだ。

祭も自分の弟が学年トップだなんて思っていなかった。
祭はポカンとしていた。


奏が静かに壇上へ上がるなり、周りがひどくざわついた。

決して悪いざわつきではない。


「ねぇ、祭。どしたの?ボーッとして、」
美奈子が顔を覗き込んでいる。

「いや…あれあたしの弟だし。」


周りがひどくざわついた。









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