series『あさば荘』
あさば荘 骨と鱗 破片 天頂花房 四月の海岸にて 僕は 尾びれ(※現時点でここまで)

 このシリーズの中で一番最初に書いた話は『骨と鱗』で、当初はシリーズ化する予定はありませんでした。のちに、ひとつのアパートにまつわる話を書きたいと思ったときに『あさば荘』を書き、シリーズ『あさば荘』が始まりました。はじめはjunkでのひっそりとした連載でしたが、数が増えたのでlong/seriesに移動しました。

▼アパート
 あさば荘の基礎は、現在わたしが住んでいるアパートがモデルになっています。けれど最近は外を歩くたびに、色々なアパートを眺めて、あれがいいなこれがいいなと考えています。いつか理想的な『あさば荘』を見つけるまで、このアパート探しは続きそうです。

▼登場人物
 矢島さんは、『骨と鱗』を書く前に描いていた『プリズム』という漫画に出てくる予定だった人物で、外見や性格などはほぼそのまま使っています。『プリズム』は別サイトで公開していた短編のオムニバスで、彼の働くお菓子屋さんが舞台です。彼が出る前に、漫画を描くのはやめてしまいました。『プリズム』にはjunk『愛を叫んでくれ 』のニーナや辻くんも出演しており、特に辻くんは矢島さんと同じお菓子屋さんでバイトをしているので、いつか『あさば荘』に絡んでくることもあるかもしれません。

▼金魚
 鴨くんが飼っている天頂花房という魚は、金魚の図鑑で見て印象的だった魚です。彼の過去である『尾びれ』に出てきたハラマキという名前は、わたしが一人暮らしを始めたころに飼った金魚の名前です。種類はコメットで、赤い体に白いハラマキを巻いたような模様があったので、ハラマキと名付けて世話をしていましたが、夏に死んでしまいました。

▼繋がり
 あたりまえの話ですが、別で生活している人たちみんなにそれぞれの過去があって、未来があって、悩みや楽しみや、ささやかな繋がりがあったりなかったりします。そういうものを書いていきたいです。たまたま同じアパートで知り合ったことが、今後の人生にも関わってきたりするのって、面白いなと思います。今のところ、次に公開するのは文の過去にまつわる話を書いています。