series『アルファ』
(※現時点でここまで)


 『アルファ』には、わたしの好みを詰め込みました。自由で奔放な年上の彼女と、それに振り回されている年下の高校生の話です。花代さんの性格はわたしに近いものがありますが、宝くんの考え方や趣味にもわたしの影響があります。
 日常のなかの、ふとしたことをきっかけに、このふたりを書きたくなります。本当に些細で何気ないことですが、そういうものを伝えたいときに、花代さんと宝くんはちょうどいいです。

▼花代さん
 花代さんはたびたびそっけない態度を取りますが、宝くんのことがとても好きな、ごく普通の女性です。宝くんは、態度や言葉で素直に愛を表すのに対し、彼女は少しひねくれていて、そういうことをするのがあまり好きではありません。照れくさいので、できるならば何も言わず、手や肌が触れ合うことで伝わればいいのになあと思います。

▼宝くん
 今のところ、ふたりの関係の上限は軽く触れるキス程度です。それ以上は宝くんが拒みます。嫌なわけではなくて、成人である花代さんと、未成年である自分が関係を持つことが、なんだか悪いことのように感じるからです。成年と未成年の場合なにかあれば責任を取らされるのは成年でもあるので、自分が成人するまでは、極力静かに、平和に過ごしていたいのです。我慢できなくなることがこわいので、宝くんは極力、肌を見せたり触れたりはしたくありません。
 そういう面では早く大人になりたいと思っていますが、彼は極端に死を恐れるところがあるので、年を取ることに恐怖に近いものも感じています。

▼なれそめ
 ふたりがお互いを知ったきっかけは、毎朝乗っているバスの停留所です。相手は道路の向こう側にいて、それぞれ反対向きに出社、または登校をしていました。声をかけたのは宝くんです。