junk『EfiieTU
 Tは幸生視点、Uはエフィの視点で書いたものです。


▼生まれたきっかけ、エフィという人物
 外国人の人名図鑑を眺めながら、気に入った名前をいくつか書き出していました。それからしばらくして、「男の子に女の子の名前をつけると長生きする」という迷信を知り、外国の名前でもあったら面白いんじゃないかなあ、と思って生まれたのがエフィです。
 彼の容姿のイメージは、映画『オリバー・ツイスト』のバーニーが近いです。エフィは穏やかで、広い心の持ち主ですが、多少考えが偏っている部分もあります。たまに心の底の不安定な部分がちらりと顔をのぞかせます。そのような場合に、大切に扱っていた本を突然乱暴に放り出してしまうなどの行動に出ます。

▼聞こえない左耳
 エフィの左耳が聞こえなくなったのは最近のことではなく、幼少期からですが、理由は特に定めておらず曖昧にしています。

▼エフィの部屋
 洋館は三階建てになっており、エフィがいつも使っている五帖の部屋は二階にあります。部屋のほとんどをベッドが占めている状態です。

▼犬のユキオ
 ユキオの犬種はボルゾイで、毛並みは真っ白です。死因は寿命でした。

▼ユキオと幸生
 幸生が勘違いしていることがあります。彼は、エフィが自分を犬と思おうとしているのではないかと疑っていますが、そんなことはありません。エフィの中で、犬のユキオはユキオ、人間のユキオはユキオとはっきりしていて、比べることはあっても、重ね合わせたことはありません。呼び方の区別をしないのは、そんなことは必要もないと思っているからです。

▼近所の噂
 洋館にこもりっきりのエフィの周りには、常にさまざまな噂が飛び交っています。そのどれもがいい加減で、根拠などない不確かなものですが、子どもたちは面白がって信じます。たまに肝試しをしに訪れる子どもたちもいます。エフィは仕方のないことだとあきらめているか、どうでもいいと思っていますが、ユキオはどうしても許せません。

▼幸生の家庭
 幸生は数年前に、母の虐待によって兄を亡くしています。それが原因で両親は離婚し、幸生を引き取った父が昨今再婚をしました。婿養子に入る形で、名字も変わりました。優しい両親ではあるのですが、どうしても居心地が悪く、幸生は余計にエフィのところに入り浸ります。

▼エフィが飲み込んだ言葉
 彼は聖書に忠実な原理主義者で、その理念を尊重しており、神が「忌み嫌うこと」として禁止されている同性愛に対して「正しくないもの」という解釈を持っています。エフィが幸生に対して抱いている感情が、異性に抱くようなものと同等かは分かりませんが、それに近い感情で特別に思っていることは確かです。言葉にすれば全てを認めてしまうようで、彼はそれを恐れています。普通に「好き」というだけなら簡単ですが、少しでもやましい気持ちが彼の中にあるために、どうしても言えないのだろうと思います。けれど伝えたくてたまらなくなったとき、どうにか別の言葉を探して、必死で伝えようとします。彼ががんじがらめに縛られている分、素直に感情をはき出すのは幸生の役目です。