どこにもいかないで

(どうしてかなあ)


窓際のヘビ
彼は泣きたくてたまらない
埋葬してあげる
ライオンの吐息
モルヒネ・アヘン

梅雨の終わりの雨のにおいを、肺いっぱいに吸い込んだ。

どこにもいかないで
メシアとピアス
彼女の中のオロチ
人が恋に落ちる過程
夜の右耳

誰よりも可愛くて誰よりも賢くて誰よりも切ないきみは、どうしても今すぐカバに乗りたいのだと駄々をこねながら眠った

唐突な愛の告白
たまらなく好き
信じることを知っていたころ
かなしい、かなしい、かなしい
カーテンの向こうで

信じてほしいとか、信じてるとか。

夢を見ているみたいね
一晩中ひどい雨
彼女のママはヒス
温室のダリア
心中察します

だからなに、と彼が言って、もういいよ、とわたしは答えた。

ねえダーリン、名前を呼んでよ、その声で。あんたの声はひどいけど、我慢できないほどじゃない。