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3.


「てか、お前さ、こんな超能力あるなら俺じゃなくて可愛い女の子の幽霊に使えよ」

もう脳内はうっはうはである。

幽霊や怪談と言えば女性が化けて出てくるイメージが強いが、玄関の鍵を締めた真夜中の自宅に女の子の幽霊が出て、しかも、こんな能力があったら使わない方がもったいない。

女の子達が実体化すると思うと、病院とかの心霊スポットに滾ってくる。ナースさん、ふふ。

俺の問いかけに真木は一瞬黙ってしまった。

脳内がパラダイスな俺は気付かなかったが、その時の真木は答えないんじゃなくて、答えられなかった。俺をひどく訝しげに見たのだ。

「…とりあえず、行くぞ」

「どこに?」

「スーパー。お前、荷物持ちな」

「そのためかよ、おい!!」

「それ以外の何があんだよ、…はっ、」

ものすごくムカつく。だが、仕方なくて、溜め息を吐いた後に真木についていくことにした。服は俺が腹筋をした日と同じもので、靴は真木が貸してくれたスニーカーだ。

この壮絶イケメンは靴の一つですら有名ブランドの限定商品で、俺に貸したのもそれ。

だが、俺の足では浮くブランドも、嫌味なほど長い真木の脚と組み合わせればものすごく視線を集める。いい意味で。実際に、さっきすれ違った可愛い女の子が真木を二度見した。

綺麗なお姉様も真木を見て頬を染める。

(うわ、ムカつく)

生き返るほど羨ましい。

「で、何買うの?」

「エロ本と油揚げと酒。…と食いもん」

「え、何そのチョイス」

着いたのは近所のスーパー。

高いマンションに住んで、高い服を着ている人生勝ち組様はどんな高級な場所に行くかと思ったが、普通の馴染み深いスーパーだ。そこで買い物カゴを取って俺に押し付けてくる。

モデルに軽く圧勝できる顔面のくせに、性格は最悪だ。こんなのにホイホイ釣られるんだから女の子には是非注意してほしい。

「おい、死に損ない」

「俺は藤岡若葉って言うんだよ!」

「はっぱ」

「はぁああああ!!??」

真木が面倒くさそうにする。

そして、買い物カゴを持った俺に、しっしっ、と犬でも追い払うように手を振った。

絶対に彼女ができないような性格なのに、顔面のせいでプラマイゼロむしろプラスだ。世の中って不平等。…本気であの顔面を殴りたい。

「エロ本選んでこい」

「なんで俺がお前のエロ本を選ぶの!?」

「その後、お前が食べたいもんでも好きに買え。俺は油揚げと酒を見てくる」

「なんでピンポイントで油揚げ!?」

駄目だ、ツッコミ力が上がっていく。

だが、真木は答えてくれなくて、結局俺が自動ドアの前に取り残されただけだった。店の中へと入っていく真木の背中を見詰めながら佇む俺は、妙にちっこいチワワに吠えられた。

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座右の銘:リア充爆発しろ。
現世への未練:イケメン滅ぼす。