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7.

中は意外と綺麗だった。

予想していた埃や蜘蛛の巣はなく、きちんと掃除されていて窓枠に埃一つないどころか窓ガラスまでピカピカに磨かれている。

「人でも雇ったのかい?こんな綺麗に…」

「こんな森の奥まで来てくれる人がいたら、是非お願いしたいよ。これは僕が頑張った」

「君が?自分で?雷の始祖様とあろう高貴なお方が一人で箒で掃いたり、窓を拭いたりしたのかい?…っは、あはははは!!」

想像できなかった。

私といた頃は日向で丸まっていたり、のんびり昼寝をしたりしていたあのドラゴンが、世界中から崇め奉られる始祖の一人が、こんな廃れた洋館で一人あくせくと掃除していたなんて。

「信じられな、っふはは、…はぐぅ、」

突然頬を摘まれて変な声が出た。むにゅ、と親指と人差し指で摘まれて伸ばされる。

「君は僕をなんだと思っているんだい!」

「ほはて」

「トカゲ!?生意気を言うのはどの口だい?…そんな悪いお口は塞いでやろうか」

そして、頬を摘んでいた指先は優しく頬に添えられ、私に彼の言葉を理解する時間も与えてくれないまま、彼はもう片方の腕を回しの腰に回すと強く抱き寄せ、唇に唇を重ねた。

ちゅ、と柔らかいリップ音。

状況を把握するまでにどれほどの時間を要しただろう。とにかく、私の目が見開く頃には、彼の舌は遠慮なく潜り込んできていた。

「ちょ、」

喋ろうとした私の舌が甘噛みされる。

黙って食わせろ、とでも言うような動作に言葉を奪われた。グッ、と引き寄せられて距離がマイナスになる。肌にかかる彼の吐息。廃墟の中で煌めく黄金色の瞳は獲物を捉えていた。

戯れに下唇をなぞられた後に擽るように舌を食まれる。舌と舌が絡まりあって、ザラつきと温度に頭が朦朧とする。いつの間にか彼の首筋に腕を回し、自ら口を開けて強請っていた。

それに吐息だけで笑った愛しい人。

貪るような激しいキスじゃないのに、その温度に火傷しそうだ。絡まりあって水音を立てる唾液。艶の滲む息まで食われてしまう。

そして、濡れた唇が離れた頃、落ち着きのある黄金色の瞳もまた浮かべる色を変えていた。この十年で初めて見る欲情の色へと。

「今日、君は僕のものだから」

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孤独が怖い、と君が怯えるのなら、
私は君と最期まで寄り添うと誓おう。