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19.


勝負事は真剣勝負でギリギリで勝ってこそ面白みがあるんだから、わざと負けるのも手抜きも相手の不興を買ってしまう。それを避けるべく、あいつは行動に出た。

勝てるハンドを集めだしたんだ。

実はあのゲームは勝ちと負けが逆転していた。勝つことが負けであり、負けることが勝ちである。

分かりやすく言うと、勝つことで手加減されたと俺は気分が悪くなり、逆にあいつが負けようとしていたからこそ俺はそれを阻止しようとしていた。

俺を負けさせる。至極自然に負けさせる。

俺はハイカードで来ると予想していたから、ギリギリ勝てるだろうワンペアで勝負に出た。

そして、手加減なんてしなかった、実は自分が勝つための罠だった、と本物のイカサマをイカサマに見せかけただけの偽物だと嘘をついた。本物のストレートフラッシュでさえ偽物で、ハッタリだったと堂々と宣言されたのだ。

この時点で、あのイカサマの目的はわざと俺を勝たせることではなく、自分が勝つための誘導であることにすり替えられる。

俺の自尊心を守ったのだ。

さらに、ストレートフラッシュと俺が捨てた2枚のカードの他に残るスペードの10とスペードの7は、あいつが二回目に捨てたカードだ。

あいつの最後のハンドはダイアの2、クラブの2、ハートの9、クラブの7、スペードの6。

もしかしたら、ただの可能性でしかないが、ストレートフラッシュを捨てた後に引いた新しい5枚のカードは、2のペアと7のペアを含んでいたんじゃないだろうか。ツーペアだ。

実はポーカーはハンドこそ9種類あるものの、確率の問題で上位の数種類のハンドはほとんど現れない。だから、実質的にツーペアは強い。

だから、俺に勝つとはいってもあまりもの差を付けると俺が不機嫌になる可能性を考慮して、僅差で勝とうとしたんじゃないだろうか。

ツーペアを壊すべく、スペードの7を捨てた。

スペードの10も一緒に捨てたのは、一枚のみの交換では少なくて不自然に思われるからだろう。

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