街中で、男女の連れ合いを見た。
珍しい銀髪が、他より頭一つ飛び出てるから直ぐに気付いた。
活気ある歓楽街へ消えていく二人の姿は、ぴたりとピースが嵌まるように絵になっていた。
いつものことだ。
短い周期で隣の女が変わる。
任務で疲れた体に、その光景はなんだか重くのしかかった。
馴染んでしまった身体が、寒い。
アカデミーの廊下の隅で、重なり合う影があった。
わざわざ確認するまでもない。
一目でわかる長身の銀髪。
身を屈ませて女を覆っていたけど、彼の手はポケットの中だった。
女が彼の首にしがみ付く腕に、見ていたこちらの方が切なくなった。
自分と初恋の人も、他の人からは同じように見えたのだろうか。
夏祭り、警備の任務中、声を荒げる女性の声につられてそちらを見ると、所謂修羅場だった。
泣き叫ぶ女の人が向かう先は、自分の上司。
困った顔の中に、うんざりしたものが垣間見えたのは、気の所為だったのか。
自分もヒスをおこした時、やはりうんざりされてたのかもしれない。
木枯らしが身に染みる秋、落葉樹の下で女の人を慰めていた。
ベンチで隣り合う姿は親密さとよそよそしさが同居していて、慰めた後はベッドに誘うのだろうかと考えた。
雪がしんしんと降り積もる夜、友人の家の窓から外を見ると、カップルが抱き合っていた。
雪に馴染む銀髪と、暗色の着衣は風景に馴染んでよくわからなかったけど、その後、少し、泣いた。
幼い憧れは、いつしか恋になっていたのかもしれない。
(私達は、)
(男の子と女の子でもなく
男の子と女性でもなく
男性と女の子でもなく、
教師と生徒じゃない、
上師や配下の前に)
(男と女だったのだ)
0802-1031