【狙いは何ですか?】
「目を閉じて、手を貸して?」
ちいさな鈴を転がすような、可愛いらしいサクラの声。
彼女の言う通りにすると、唯一明かされていた片目も閉ざされ、闇に捕まれた手の温もりが際立つ。
両手を持ち上げられ、ぺとりと掌に感じるのは肌の感触。
素肌を感じる手は、彼女に導かれ、そのまま上へと撫で上げさせられる。
「え? ちょっと、」
決して嫌悪を感じる筈もない手触りに、思わず制止させる声が出るも、もう一方をふにゃりと弾力のある、柔らかいものに触れさせられ、制止の言葉は続かない。
そこに、一つの固い感触。
「ちょっ、待‥‥っ」
焦ったのは、どちらの手にも隔たれる筈のものはなかったから。
置かされた手を残したまま、彼女の腕は自分の首へと巻き付いて。
ふっと耳に息を吹き込まれた。
本能に従うまでの、僅かなカウントダウンは始まってる。
理性との戦いを愉しむゆとりは、残されているか否か。
それは彼女次第。
02.01-04.30