【護りたいもの】
「確かにカブトは私を壊したわ。私の、サスケくんへの恋心を」
「‥‥泣くかと思ったってばよ」
「泣かないわよ。――涙なんて、」
ナルトから目を反らす。
できれば、今の自分を見てほしくなかった。
「サクラちゃん」
「なァに」
「抱きしめても、いい?」
「ダメって言ってもするんでしょう?」
「うん」
ふわりと、優しい腕に包まれた。
いつから、こんなしっかりした腕になったんだろう。
「オレは、サクラちゃんの傍から離れないってばよ」
いつしか、ずいぶん背もはなれた。
ナルトの鼓動が耳に優しく響く。
そのリズムは、少し、早い。
「オレのこと‥‥いつか、好きになって――」
お日さまの様な子からは、やはり日なたの匂いがした。
壊したのは恋の可能性
20080719-1107