宴もたけなわで。
皆酔っ払い。
でも女の子ってのはおフロが大好きだそーで。
ボンゴレ本部にある大浴場、古代ローマを模して段差がある大理石造りだとか、ポンペイ式蒸気風呂があったりだとか。
そんな雰囲気ある豪華な設備が整った中で、こんこんとよくある獅子の口から湯が溢れる浴槽へ、派手な水音を立て落とされた。
それも、服のまま。
執行人はルッスーリア。
さすがのオレでも、グローブ無しじゃ敵いっこない。
「ルッス!」
「私はここでお別れよぉ〜ん。おフロは一人でゆっくり嗜みたいの」
「たしなみたいの・じゃ、ねぇぇぇーッ!!」
服のまま、全身ズブ濡れになったオレはようやくショックから立ち直って文句を言う。
が、彼女はオレを置き去りにどこ吹く風でさっさか立ち去ってしまった。
余りの素早さに、オレの叫びが浴場内に虚しく反響してちょっと煩い。
そこへ、服を脱ぎ捨てた(フロだから当たり前なんだけど)女の子達が入ってきた。
そうだった、ココは女風呂!!
「ギャーーッ!! ハルも京子ちゃんも! クロームも服、着ろーーー!!」
チラと見えてしまった肌色に、慌てて顔を反らして叫んだ。
待て。
皆入ってくるのか?
ウソだろ!!
「おかしなコトを言いますねぇ、ツナさん。お風呂なんですから服は脱ぎますよ?」
そうだけど!
「そうよツナくん、ツナくんだって女の子じゃない」
いやいや体だけです!
昔アナタのこと異性として好きだったんだけど!
「ボス‥‥服が濡れて、色っぽいわ‥‥」
クロームにも男としてトキメいたことあるんデスけどーー!
「こ、心はまだ男のままだからーーーッ!!」
だから誰かオレをここから助けて!
追い詰められたオレは、浴槽の隅に移動し、背を向けて壁とお友達になることを固く誓った。
が、そうは問屋が卸さないとばかりに「こっちへいらっしゃい」とビアンキに掴まれる。
「イヤ、いーです、オレのことは彫像だと思って放っておいて下さい」
ひぃ、ひぇぇぇぇ
ビアンキが後ろから服を脱がせにかかってる!
た、助け‥‥っ
「マーモンーッ、Sランク払うから、オレをここから出してーーッ!」
この場から逃げられればいくらかかっても良い、とにかく助けてくれ!
「ムリだよツナ、もうその3倍貰ってるから」
「裏切り者ぉぉぉぉッ」
面白そうというだけで、買収で世の中を渡る世界に絶望した!
「観念しなさい、ツナ」
「ツナさんやっぱり大きいんですねー。羨ましいです‥‥」
「ハ、ハルぅぅ、後生だから‥‥ッ」
壁に顔をべったりくっつけるけど、近くに誰かしらの気配があるから、もう、微かにも目を開けられない。
「さあ、ツナ。体を洗うわよ」
両脇をしっかり掴まれちゃあ、オレに女の子を振り払うこともできない。
しかも、やっぱりとゆーか、す、すす素肌の感触‥‥‥ッッ
泡いっぱいのスポンジを押し付けてくるのは、多分ビアンキ。
――まさしく隅々まで洗われたオレは、なんだかもう‥‥心身共に、犯された気分になった。
――来年のミモザの日は、イタリア国外にいよう。
リスクの高すぎる入浴の後、羞恥とアルコールでぐったり身を投げ出したオレは、意識が朦朧とした中、そう決心した。
-FESTA DELLA DONNA-
女性の日
2010.03.17