この日、オレはものすごくウキウキしていた。
南イタリアでは冬の寒さが緩み、北イタリアではまだまだ深い雪が残る、この季節。

この時ばかりは女になったことを大歓迎する!



仕事を全部男共に押し付け(この日はリボーンも文句を言わないんだよ!)(それだけで奇跡と言える程幸せだ!)言うこときかない連中も、口煩い連中も、この日に合わせて仕事を片付けてくれる。
イタリア人ってのは、やるこたキチっとやるんだよ?
絶対、休日に仕事を持ち込んだりしない。
遊びにも全力なだけだ。


そして約束された休日。
3月8日はミモザの日といって、女性の為の特別で最高の日。
つまり何もしなくて良い日!
ぐーたらを愛するオレとしても、これ以上ない日なんだ!

この日は街中でミモザの屋台が沢山出る。
このミモザは、男性から女性へ、どんな女性へも数限りなく贈られる。
今朝の食卓で、獄寺くんも当然のようにビアンキに渡してた。
顔色は最悪だったけど‥‥。

ミモザってのはね、愛と幸福を呼ぶ花なんだって。(ビアンキ談)
貰った花はブーケにして、アクセサリーにして身に付ける。
スプレーのようにレモンイエローの小さな花がほわっと集まる花は、そこにあるだけで雰囲気を明るくしてくれる。
邸中も、方々から贈られたミモザで溢れてて、あちこちに華を添える。
それはもう、むせ返るくらいに。
枯れるまでの約2週間、うちではずっとこの状態。

そのミモザで作った髪飾りやブローチのアクセサリーを身に付けてのお楽しみは、女性だけでのお出かけ。
男女ペアでしか行動しないイタリアでも、この日に限っては女性同士で腕を組んで街を歩き、ランチやパーティーに出掛ける。

もちろんオレ達もそのつもりで、午前中にミモザでアクセサリーを作って、ランチにショッピング、カフェに行ったりお散歩したり。
ハルと京子ちゃんも、高校を卒業してからはこの日に合わせて渡伊してきてくれて、一緒に過ごす。

夜は女だけのパーティーも待ってる。
パーティーの準備は居残りの男達がやってくれるんだってさ。
この日は男性が女性に感謝する日でもあるから。

マフィアなんて稼業、女としては損ばかりだけど、むしろ女になっちゃって厄介なことばかりだし女の自覚もロクにないけど、この日ばかりは声を大にして言いたい。


女になって良かった!! (――かも)



ミモザの日
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