イタリアに移住して、常日頃獄寺くんが修飾語のようにまくし立てるアレが、こっちでは挨拶と一緒に繰り出される。
特にディーノさんは、オレが女になってから褒め言葉が増えた。
他にもバジルくん、フゥ太は勿論、ファミリーの皆だろ。
ランチアさんも口篭りながらも褒めてくれるんだ。

出会って挨拶を交わし、ほんの少し話す歴々&狸、オレのことを良く思っていない古参の幹部まで。
おおよそ褒めることをしなさそうな、かつてやり合った人達も含まれる。

矛先はオレだけじゃなかったから、国民性なんだと理解できたけど。


褒められる例としては、
『チーク変えた?笑顔が素敵に見える色だね』
やら
『ボンゴレの髪は気持ち良さそうだね。長く伸ばさないのかい?』
だの
『こんなに綺麗な手をイクスグローブで隠すなんて勿体ない!』
だとか、
『そのパンプスはとても素敵だね。ツナヨシの綺麗な脚が更に引き立つよ。娘にプレゼントをしたいのだけれど、どちらのものか教えて頂けないだろうか?』
――ってな感じで、褒め方もまた社交辞令とは思えない程ひねりがきいて巧みだったりする。
流石イタリア人。
こんだけ四六時中あっちこち褒めらりゃ、イタリア人の女性が女性としてのスキルが高いのも頷ける。

さすがに、骸に褒められたんじゃないかと思われる言葉をかけられた時には仰天した。(あいつも変なとこでイタリア人だなぁ)
リボーンも言うんだ。
まぁ‥‥オレ自身じゃなくて服とかの外側を褒めるんだけどね。
それも自分で選んだんじゃない時に限ってだから小憎らしいったらない。
それでも女性に対する時のプライドなんだか、イタリア人として褒め言葉を口にせずにいられないあの性分には感服してしまう。

老夫婦だって、旦那様が『長い間一緒に歩んでくれてありがとう』とか言いつつしわくちゃのお婆ちゃんの手を取って、見つめながら言うんだ。
だからか、イタリアの夫婦はどの年代でもみんな恋人同士みたいだし、40代50代での高齢出産なんてこともあったりする。

もしかしたら、父さんのあの欝陶しい愛情表現も、イタリアだと普通なのかと思わされてしまう。
放って置かれた年月が長すぎて、心底欝陶しいだけだけどな。


ああ、意外なのはヴァリアー!!

どいつもこいつも必ず褒めてるっぽいんだかけなされてるんだかなんなんだか良く判らない一言が入るから、未だに心臓に悪い。
戦う心配以外にも、できれば顔を合わせたくない。
つくづくこいつらもイタリア人なんだなぁと実感したよ。



とにかく、未だ男だった感覚を克服できてないオレとしては、周りからの女扱いに日々プレッシャーを感じつつ、女としての気持ちやら気分やらが追い付いてなくて、見合わない褒め言葉に変に罪悪感やいたたまれない感を背負わされて、非常に困り中なワケなんデス。




褒めちぎって、見せびらかして、愛して!
2009.11.01-2010.02.24 clap
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