陽の射さない地下では有象無象の輩がはびこり、秩序なんてものは唾と共に吐き捨てられる世界。
別名、科学者共の塵捨て場。


このくだらない地下世界で、俺達は足掻き続ける。

幻影と過去を負って。

薄暗くて欝陶しい、滅入るばかりのこのアンダーグラウンドが俺を呼んでいる。


リリィ。


無邪気な笑顔を向けられると、俺はまた




君を引き裂いてしまうよ





□□□□□





崩れかけた廃墟の中で、男達とスラング、銃弾が激しく行き交う。


「アンタ達がそのコを渡せばそれでイーのよーーッッ!!」

翼種“=タイニーフェザー”に目を付けたアホ――カルセリーノ一家というらしい。

需要があれば供給がある。

科学者共が造り出した前時代の遺児“=ロストフッテージ”を仕込んで娼館にでも置いときゃあ、使える限り良いカネになる。
変態はどこにでもいるもんだ。
スジモン達の格好の餌食。

穴を埋めるクズ共を掃除すべく、今日もハイネ達は愛用のハンドガンに火を点す。

タマを喰らう前にブッ放して向かってくるマフィア達を倒していくバドーに対し、自分に向かってくる弾雨を恐れないハイネ。

「だからなんでアンタは死なないのよォォォーーッ!!」

マルセル・カルセリーノの叫び声と共に発せられる銃弾。
マシンガンで遠慮会釈なくハイネの腹をボコボコに開けていく。
血が溢れる寸前、向こう側の景色が見えた気がした。

撃ち込まれた衝撃でのけ反ったハイネが身体を戻し、口角から流れる血もそのままに唇を歪める。


「――イッツ、ショーウターーイム」


「「「ゾ・ゾンビィィィィッ」」」

にたり、と嗤うハイネに、カルセリーノ一同、驚愕に引き攣った。

グリップのケツを鎖で繋いだ二丁の銃が火を噴く。

ナイフを持って懐に潜り込んだ男の首に鎖を巻き付け、両腕を開いて周囲に撃ち込む。
絞めた男が落ち、左手のルガーP08を手放すと、後ろの男の鼻へ吸い込まれる。
バドーの方もヤニ切れも甚だしく、硝煙の煙で違う感じでハイに景気良く煙を撒き散らす。



静かになった時、大きな木のボックスの影に隠れている、左頬に傷のある男へ右手のモーゼルM712でズドンと一発。


「まァたホッペにキスされたくなけりゃあ、とっとと消えな。


――FACK OFF」




□□□□□




幾度となく夢を見る


――女は苦手だ

無邪気な笑顔を向ける、大人になり切れてない女は、特に。


狂った俺の両腕が



リリィ





君を貫く

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