クレイとマリーナの挙式を見守ったわたしは、少し、ほんのわずかに溜息を漏らした。
それを、耳聡く隣にいたトラップが拾い上げる。



「なんだ、おめぇ、淋しいのか?」

「トラップだって、淋しくないの?」

ずっと組んでたパーティのメンバー。
幼馴染み。

どちらがより淋しいかなんて比べることなんて出来ないけど、淋しいという気持ちは変わらないはず。
それ以上に、わたしたちが二人を祝福する気持ちが勝っているだけで。

「だからって、あいつらがいなくなるわけじゃねーし」

トラップらしい言葉に、ああ、なるほどと呟く。

「今すぐ大家族の一員になれる方法、知ってっか?」

「は? 何、」

話の脈絡のなさに、唐突さについていけず、間抜けな反応しか出てこない。できない。
やめてよね、ただでさえあんたたちモテんだもん。
1番の有望株を持ってかれたシルバーリーブの女の子達の目はあんたに向いてんのよ?
隣にいるだけで獲物を狙う肉食獣のような目が、嫉妬とゆう針を持ってわたしを睨んでるんだから。
うう、せっかく気ぃ使って円滑な関係築いてたのに、この結婚式でまたイチからやり直しだなぁ。

大体、わたし、今結構おセンチな心境なんだけど?

もう一度、明確な溜息をわざとらしく吐き、トラップへ向き直る。

「今すぐって、ねぇ。ムリじゃない? 大家族って、二人三人じゃ‥‥」

「オレんトコ」

は?

真っ直ぐ主役の二人を見つめる目は優しくて、言われたことが頭の中で結び付かないから、ぽかんとトラップを見上げてしまう。
間違いなく、「マヌケ面!」ってからかわれる! って思ったけど、トラップはわたしの顔を見ずに続けた。


「オレんトコ来りゃいーだろ?」





(――普通、あんなプロポーズある?)
(でも、嬉しかったんだろ?)
(大家族には、惹かれた)
(素直じゃねぇヤツ)

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