短編 | ナノ


「桜!一緒に帰ろうよー!」
「何ー、今日も駄菓子屋行くの?」
「うん。安いし、桜がいればくじは大当たり間違いなしだし」


帰りのHRが終わるや否や、マックスこと松野空介は隣の席の桜に話しかけた。目的は、桜が言ったように駄菓子だ。マックス曰く、『桜のくじ運は裏切らない』のである。
最近駄菓子にハマッているマックスはよく桜を引っ張っていくのだが……


「桜ー!いるかー?!」
「(…来た)」


元気のいい声と共に教室へ入ってきたのは、雷門サッカー部キャプテンの円堂守だ。


「あ、守。どしたの?」


マックスにとってはおもしろくない。
何がって?もちろん円堂の乱入が。


「今日練習休みなんだよ。河川敷でサッカーやろうぜ!」
「うん、いいよ!って、あ…マックス…」


うーん、と悩み始める桜。
黙って見ていたマックスは、 そんな桜の様子に苦笑して言った。


「いいよ、桜。駄菓子屋は明日で」
「え?でも……」
「いいってば。ほらほら、早く行かないと時間なくなるよ!」
「……うん、わかった。ありがと、マックス」


そうして、桜と円堂は仲良く教室を出て行った。


「……あの2人、別に付き合ってるわけじゃないよね…


残されたマックスは独り呟いた。


「ないと思うけど?」
「なっ!?は、半田っ?!」


…つもりが、その独り言には返事が返ってきて、思わず声が裏返ってしまった。隣を見ると、そこにはいつの間にやら半田が。


「何、マックスって四ノ宮のこと好きなの?」
「知らない。……うるさいな、中途半田のくせに」
「中途半田言うなっ!!」



マックスはギャーギャーと騒ぐ半田を適当にあしらいながら、とりあえず明日の朝桜に会ったら呼び方を名前に、“空介”に変えてもらおう、と思った。




(あっちは名前呼びだもんね)




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