短編 | ナノ
「だからあれは風介が―」
「いや、晴矢があの時―」
「しーっ!2人とも静かに!!」
午後2時すぎ、俺と風介はその日あった試合を終え、お日さま園に帰ってきた。……のだが、部屋に入ったとたんにリュウジのやつに小声で怒鳴られた。器用だな、オイ。
「…なんだよいきなり」
「だから、静かにしてってば」
静かにって…俺と風介は言い合ってたけど音量はそんなにでかくなかったぞ?
「何かあるのか、リュウジ?」
…風介も同じ考えだったみたいだ。コイツと同じ意見なのはちょっと釈然としないが、俺も同意を示すべくうなずく。
「桜が寝てるんだよ」
それだけ言うと、リュウジはソファの方へ行ってしまった。そこで、俺たちもそっと覗いて見ると……確かに。そこには俺たちと同じ中学2年生とは思えないくらいあどけない桜の寝顔があった。マジで昼寝って…子供かよ。
「…起こしたら大変だし、他んとこ行くか」
「あぁ、そうだな」
俺たちは大きな音をたてないよう、注意しながら部屋を出た。廊下を歩きながら何となくさっきの光景を思い出した。
なんというか、
「晴矢、」
「ん?」
「あのリュウジは、 まるで桜の番犬だな。今にも耳と尻尾が生えてきそうだ」
風介は俺のほうを見て柔らかく笑った。
「はは、そうだな」
俺も思った。
今日はコイツとよく意見が合う。たまにはそういうのもありかも、と思ったのは絶対に言わない。
130129
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名前変換の意味ェ…
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