「夏と言えばプールっしょ!はい決定!今度のオフは一緒にプールへ行きましょうはい決定!」
そんな会話を高尾としたのが3日前。むしろ会話なんてしていない。オレは話してないし承認した覚えもないがオフの日の朝に完全にプールを行く格好で家に押し掛けられたからには行くしかないだろうが。
「だからといってそんな格好で隣を歩かれると死にたくなるのだよ」
「え?羨ましいって?」
「その首にかかった浮き輪が縮こまって首がしまって死ね」
大きなプールに二人で行くなんてそんな寂しいことは嫌だと行ったら市民プールに行くことになった。
夏休みというだけあってなかなかに人が多いが泳げないというわけではない。
「真ちゃんって泳げんの?」
「当たり前なのだよ」
「ちなみにバタフライとかできんの?」
「人並みにはな」
「じゃあエビフライ作れんの?」
こいつは一体何の話をしてるんだ。ゲラゲラと笑う高尾を無視して大プールをスイスイと進んでいく。
浮き輪に乗りぷかぷかと浮いている高尾を見ているとプールに来た意味が無いのではと考える。何だかムカついたオレは高尾の下に潜り込み、浮き輪をひっくり返してやることにした。
しかしここで問題が発生した。もともと潜るつもりはなかったから眼鏡装備である。だが迂闊にもオレは潜ってしまった。高尾を驚かせてやろうとも思ったがプールにきて潜らないとかねーのだよとか思ってしまい潜ってしまった。今思うとただの馬鹿だ。
「っ!しまった!高尾!!」
「えっ?何?溺れたの?」
ひっくり返すことなんてもはやどうでもよく勢いよく顔を挙げて叫ぶ。視界がはっきりしないということは予想していた最悪の事態が起きてしまったということだ。
「違う!眼鏡が流された!」
「なんっ…だとっ…?!」
いつになく真剣な声が聞こえ、待ってろ!すぐ行く!という声が聞こえた。なんだかんだで仲間思いの奴だからな…と考えたのもつかの間、
「緑間!!!どこだ!!!!いますぐ助けてやるからな……あっ!緑間!そんなとこで!!!大丈夫か!!!!!」
何かデジャヴなのだが、それは眼鏡で本体はこっちだと何度言えばわかるんだ。