「ねぇ真ちゃん、真ちゃんって一人っ子?」
「…ノーコメント」
「なんで?!」
部活の休憩中に何を思ったのか知らないがいきなり家族構成について聞いてきた高尾。なんでと言われても答えて何になると言うのだ。だというのに高尾は俺の肩をバシバシと叩きしつこく聞いてくる。なんなのこいつ宮地さんに轢かれればいいのに。
「高尾は妹がいるんだったな。ハイ終わり、この話終わり。」
「だからなんで?!」
じゃあ逆になんでそんなに知りたいのだよ…と頭を抱えれば、お前のこともっとしりたいんだよ、と真面目な顔で言われた。
「高尾…?」
「別に需要の無い内容かもしんねぇ、でもこうやって他愛の無い話をするだけでも心の距離が縮まるかも知れないだろ?」
ふっ、と微笑みながら言う奴の顔は完全にお遊びモードの顔だった。こいつ、楽しんでやがる。暫く高尾の顔を見てると俯いてぷるぷると震えだした。笑ってるな、確実に笑ってるのだよ。
腹が立ったオレは仕返しとばかりにそのアホな茶番に付き合うことにした。
「…っ!だ、だがオレに近付けば近付くほどお前は…!」
「えっ」
「いいか、お前はこっちで何も知らずに生きていく方が良いのだよ。オレはまだこの左手に封じられせし力があるから…だがお前は、ただの一般人だろう?だったらなおさらだ。巻き込むわけにはいかない!」
「えっ?」
普段からは考えられないほど饒舌で喋ってやる。別に無口なわけではないからこんなこと何てこともない。中二病のことについては数年間近くで(赤司)見てきたからよくわかっているつもりだ。
唖然とする高尾。してやったり。だがここで終わるほどオレは甘くないのだよ…!
「いいか、お前は何も知らずにここで生きていけ。例え運命の鎖がお前を導こうとも…!…っいや、何にもない、今言ったことは忘れてくれ…」
「真ちゃん…?」
自分で言うのもなんなのだが迫真の演技だと思う。こんな技をも持ち得ていたのか…今度から使おうと心に決め高尾に目をやる。最初は痛い子を見る目だったのだがオレの迫真の演技のおかげか少し信じてるようだ。なにをだ。
まぁ騙すと言うのも癪だからそろそろ普通に戻ってやるかと心のなかでせせら笑いオレは口を開いた。
「とりあえずオレには妹がいるのだよ」
「あ、今それ言うんだ」