▼ 君がいれば見つかる気がした
もう死んでるんだしいいや、とシャルナークは彼女に色々話した。
自分たちがしてきたことを。
絶対普通の感性の持ち主なら引くであろう話も、シオンにとっては素敵な物語のようなものだった。
「すごいすごい!今まで読んだどのお話よりもずっとスリリングで面白いわ!シャルナークの人生ってとても素敵だったのね!」
「いやさ、してたオレが言うのもなんだけど。悪者なんだよ?もっと罵倒される存在だと思うんだけど」
「だってすごいんだもの!」
「シオンと喋ると調子狂うなー」
「えー、ひどい」
むすー、と頬を膨らませるシオンにシャルナークはごめんごめん、と適当に謝る。
そんなシャルナークをシオンはじっと見ながら聞く。
「シャルナークはさ、幸せだった?」
シオンの質問にシャルナークは驚きながら返事をする。
「なに、突然」
「悲しそうな顔に見えたから」
「そ、かな」
「私がそう見えただけだけどね」
「幸せだったかはわかんないけど、やっぱり楽しかったよ」
後悔なんてないつもりだったけど、戻れるなら戻りたいって思うから。悔いあるんだなぁ、とシャルナークは苦笑いした。
「ならさ、帰ろう?」
「は?」
「死んじゃったならまたはじめからやり直せばいいんだよ。輪廻転生…、て言うんだっけ?」
「いやいや、何言ってんの。そんなのあるわけないじゃん」
「だって死後の世界があるんだもの!きっとできるよ!!」
探しに行こう!!とシャルナークの手をグイグイ引っ張るシオン。
「仕方ないなぁ…」
そう言いつつもシャルナークはとても嬉しそうな顔をしていた。
2017.7.1
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