シャルナーク中編 | ナノ


 君がいれば見つかる気がした

もう死んでるんだしいいや、とシャルナークは彼女に色々話した。
自分たちがしてきたことを。

絶対普通の感性の持ち主なら引くであろう話も、シオンにとっては素敵な物語のようなものだった。

「すごいすごい!今まで読んだどのお話よりもずっとスリリングで面白いわ!シャルナークの人生ってとても素敵だったのね!」

「いやさ、してたオレが言うのもなんだけど。悪者なんだよ?もっと罵倒される存在だと思うんだけど」

「だってすごいんだもの!」

「シオンと喋ると調子狂うなー」

「えー、ひどい」

むすー、と頬を膨らませるシオンにシャルナークはごめんごめん、と適当に謝る。
そんなシャルナークをシオンはじっと見ながら聞く。

「シャルナークはさ、幸せだった?」

シオンの質問にシャルナークは驚きながら返事をする。

「なに、突然」

「悲しそうな顔に見えたから」

「そ、かな」

「私がそう見えただけだけどね」

「幸せだったかはわかんないけど、やっぱり楽しかったよ」


後悔なんてないつもりだったけど、戻れるなら戻りたいって思うから。悔いあるんだなぁ、とシャルナークは苦笑いした。

「ならさ、帰ろう?」

「は?」

「死んじゃったならまたはじめからやり直せばいいんだよ。輪廻転生…、て言うんだっけ?」

「いやいや、何言ってんの。そんなのあるわけないじゃん」

「だって死後の世界があるんだもの!きっとできるよ!!」

探しに行こう!!とシャルナークの手をグイグイ引っ張るシオン。

「仕方ないなぁ…」


そう言いつつもシャルナークはとても嬉しそうな顔をしていた。


2017.7.1

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