シャルナーク中編 | ナノ


 輝く瞳に見える星

シオンはなぜ死んだのか。別にシャルナークは興味なかったが聞いてみた。

「シオンはどうやって死んだの?」

「私は病気」

生まれた時からだったの、と言う彼女。

「親が私を見て悲しい顔をするの。きっと可哀想な子を産んじゃった、って思ったのかな。私は二人のとこに産まれて幸せだったのに」

「へー」

「シャルナーク自分で聞いたのに興味無さそう」

「あんまりないかも」

「あー、ひどい」

「全然傷ついてなさそうな癖に」

「ふふ、私こうやって話せるだけで楽しいもの」

結構雑な扱いをしたつもりだったが、シオンはそんなの気にせずに笑う。

「今まで同世代の人とおしゃべりなんてしなかったもの」

「同世代?オレより随分下でしょ」

「私、これでも死んだ時は20だったのよ?」

そう言うシオンにシャルナークは目を丸くした。

「うっそ、もっと幼く見える…」

「うふふ、そうでしょ?」

くすくす笑うその顔はどう見ても10代前半に見える。シャルナークは詐欺だ、と言う。

「シャルナークは22とかそんくらい?」

「多分そんなもんじゃない」

面倒くさくてシャルナークはそう適当に答える。

「生きてる時はずっとずーっと病室にいてね。こんなふうに空を見たり、大地を歩いたりしたことなかった」

だから今の方が楽しい。と笑うシオンは本当におかしい。シャルナークは笑った。

「ほんとおかしいよ、最高」

「よくわからないけど、ありがとう」

「いいよ、わかんなくて」


生きてるよりも死んでる今が楽しいなんて、ほんと世界は残酷だ。

「オレは生きてる時の方が楽しかったけどね」

「シャルナークは何してたの?」

「オレはね、盗賊」


そう言ったら引くかなー、と思ってたんだがどうやら彼女は違った。
大きな目をキラキラ輝かせて、嬉しそうな顔をしていた。


「その話すっごく聞きたい!」

そう言った彼女はやっぱり幼く見えた。


2017.7.1


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