▼ 輝く瞳に見える星
シオンはなぜ死んだのか。別にシャルナークは興味なかったが聞いてみた。
「シオンはどうやって死んだの?」
「私は病気」
生まれた時からだったの、と言う彼女。
「親が私を見て悲しい顔をするの。きっと可哀想な子を産んじゃった、って思ったのかな。私は二人のとこに産まれて幸せだったのに」
「へー」
「シャルナーク自分で聞いたのに興味無さそう」
「あんまりないかも」
「あー、ひどい」
「全然傷ついてなさそうな癖に」
「ふふ、私こうやって話せるだけで楽しいもの」
結構雑な扱いをしたつもりだったが、シオンはそんなの気にせずに笑う。
「今まで同世代の人とおしゃべりなんてしなかったもの」
「同世代?オレより随分下でしょ」
「私、これでも死んだ時は20だったのよ?」
そう言うシオンにシャルナークは目を丸くした。
「うっそ、もっと幼く見える…」
「うふふ、そうでしょ?」
くすくす笑うその顔はどう見ても10代前半に見える。シャルナークは詐欺だ、と言う。
「シャルナークは22とかそんくらい?」
「多分そんなもんじゃない」
面倒くさくてシャルナークはそう適当に答える。
「生きてる時はずっとずーっと病室にいてね。こんなふうに空を見たり、大地を歩いたりしたことなかった」
だから今の方が楽しい。と笑うシオンは本当におかしい。シャルナークは笑った。
「ほんとおかしいよ、最高」
「よくわからないけど、ありがとう」
「いいよ、わかんなくて」
生きてるよりも死んでる今が楽しいなんて、ほんと世界は残酷だ。
「オレは生きてる時の方が楽しかったけどね」
「シャルナークは何してたの?」
「オレはね、盗賊」
そう言ったら引くかなー、と思ってたんだがどうやら彼女は違った。
大きな目をキラキラ輝かせて、嬉しそうな顔をしていた。
「その話すっごく聞きたい!」
そう言った彼女はやっぱり幼く見えた。
2017.7.1
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