轟くんと身分違いの恋名前は轟家に仕える女中の1人である。
炊事、洗濯、掃除など家のことはやるが轟家の人間との交流はほぼないと言ってもいいくらいだった。
なのに、そんな彼女は轟家の人間に恋をしてしまった。
名前は轟焦凍。この家の優秀な息子。
自分とは住む世界が違う、そんな人間に恋焦がれることはとても辛かった。
その姿を見ることは出来ても声をかけるなど出来るはずもない。
名前はその恋心を誰に悟られることもなく、数ヶ月を過ごした。
ある日、名前の予想しないことが起きる。
「なあ」
いつもおれのこと見てるだろ?
そう言ったのは名前が恋をしている相手。
「わ、私は」
「俺の勘違いだったならいいんだ」
気になっただけだから、そう言って去ろうとする焦凍の手を名前は掴んだ。
きっと、これから先この人と話せることなんてない。いま言わなければ私は後悔する。その思いからだ。
「私は、貴方を好いております…」
仕えるべき家の者に言うべきことではない。
それはわかっていたが言わずにはいられなかった。
「そうか、ありがとうな」
おれはあんたのこと知らないから、気持ちには応えられないとはっきり言われたが名前は伝えられただけでよかった。
「お気持ちを伝えることが出来てよかったです」
私はこの家にもういることは出来ない。
だけれど、後悔など何一つ無い。
私は、貴方を愛せてよかった。
2017.1.8
匿名の方からリクエストの轟くんと女中の身分違いの恋でした!
女中が主の息子である轟くんに恋する話ですが、これでよかったでしょうか?
リクエストありがとうございました!
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