永遠に、ここに/ジョゼフ



ドクドクと心臓は脈を打つ。
あと、あと私だけしかいないのだ。みんな、あの男にやられていなくなってしまった。

もうハッチは開いてる、だけど私もあと一撃でも当たったら倒れるだろう。
名前は後ろを振り向かずに足を動かし続けた。

たったの1分が、どれくらいに感じただろうか。
もう何時間もたったような、そんな感覚。

角を曲がり、やっとハッチにたどり着いた時彼女は安堵し速度を緩めてしまった。
後ろに来ていた男は剣を振り、彼女の背中を切りつけた。

「ぅぁっ…」

ドサリと彼女が倒れると後ろからフフッと笑う男の声がする。

「いけないな名前。安心してしまったのかい?」

「じょ、ぜふ」

そう呼ばれた男はニコリと笑い名前の前にしゃがみ、彼女の顎を持ち上げ目線を合わせる。

「ハッチが目の前だからと行って油断しすぎだよ」

でもやっと鬼ごっこもおわりだね、と言う。

「や、やだ。帰らせてっ」

痛む身体で彼の手を払いのけ、そのまま這いずってハッチに近づいていくがジョゼフがそれを許すわけがない。
名前が伸ばす手を剣で刺し、地面に押さえ付けた。
名前は痛みで悲鳴をあげる。

「アァアァァ!!!!」

「まだここにいてほしいな名前」

「やめっ、やめてっ」

帰らせてと泣く名前にジョゼフはキスを落とす。剣を刺した男がするとは思えないほど優しくて甘いキス。

「帰らせない。君は私と永遠に、ね?」


2019.8.14


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